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<コラム・記者ですが> バランス感覚の妙味 當山幸都(政経グループ経済班)


<コラム・記者ですが> バランス感覚の妙味 當山幸都(政経グループ経済班)
この記事を書いた人 Avatar photo 當山 幸都

 今年1月、休みを利用して台湾総統選の現場を見て回った。集会に万単位の支持者が駆け付け、フェスさながらに盛り上がる4年に一度の政治決戦で与党民進党は政権を維持し、同時実施の立法委員(国会議員)選では過半数割れを喫した。特定の勢力に圧勝まではさせない、有権者のバランス感覚が働く結果になった。

 翻って、今日は衆院選の投開票日。「自公政権対オール沖縄」を中心に対決構図が描かれるようになったこの10年の県内を振り返り、似たような民意のバランスを見いだすのは考えすぎか。

 国政選挙では全国的に政権与党の大勝が続いたが、沖縄では苦戦を強いられてきた。一方、知事選や国政選挙で強さを見せるオール沖縄は県内の市長選で大きく負け越している。今年6月の県議選では自民の議席増を許し、過半数割れに追い込まれた。

 もちろんあらゆる選挙を単純な対立構図だけに当てはめることはできないし、有権者の判断材料はさまざまある。ただ国政と県内政局の間で、特定勢力の勝ちすぎや権力集中に待ったをかける結果は緊張をもたらす。そこに一筋縄ではいかない政治の妙味を感じる。

 今回は派閥裏金問題で政権与党に厳しい見通しが伝えられる。辺野古問題で手詰まり感が漂うオール沖縄の退潮も続く中で、有権者の判断は結果にどう表れるのか。

 何より投票率低下が深刻だ。ぜひ投票所へ足を運んでほしい。