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<コラム・記者ですが> バトンを受け取って 普天間伊織(暮らし報道グループ那覇・南部班)


<コラム・記者ですが> バトンを受け取って 普天間伊織(暮らし報道グループ那覇・南部班)
この記事を書いた人 Avatar photo 普天間 伊織

 昨年の12月、父が亡くなった。もうすぐ一周忌となる。

 がんで2年ほど闘病していた父は、忙しい仕事の合間を縫って終活をしていた。その一つが、長女である私に仏壇や墓の管理、親戚へのあいさつなどの役割をバトンタッチすることだった。

 高校卒業後すぐに上京したこともあり、それまでの私は親戚の集まりや地域の行事に積極的に顔を出す方ではなかった。父についてあいさつ回りをしていても、親戚の名前と顔が一致しないこともあった。コロナ禍もあり、互いの家を行き来する習慣が減っていたこともあるだろう。昔と比べて、近所付き合いも少なく、周囲に建ち並ぶ新築マンションの住民とはほとんど顔を合わせることもない。

 時代の流れというものだとたいして気にしていなかったが、南部地区担当記者として南城市や与那原町、離島の取材を始めたことで少しずつ考えが変わった。どの地域の人々も自分の住む地区に誇りを持っており、地域の伝統文化やしきたりを大切に守っている。大きな祭りやイベントがあれば一丸となって取り組み、子どもたちをみんなで見守る。 

 最新のデバイスやプラットフォームを使いこなすことや最新の情報、知識、スキルを得ることにとらわれすぎて、大切なものを見失っていたような気がする。父の一周忌を前に、改めて自分のアイデンティティーを見つめ直しているところだ。