「第48回沖縄の産業まつり」が25日、那覇市の奥武山公園と県立武道館を会場に始まった。沖縄経済がコロナ禍から回復する中で、会場では原材料高などの製造業を取り巻く近年の課題を克服しようと、高付加価値化を図ったり、収益の柱を増やすため新規事業を展開したりと、知恵と工夫を凝らして試行錯誤を重ねた新商品が多く見られた。2024年度の「優良県産品」に推奨された49品から優秀11点の表彰式も開かれた。
出産期を終えた伊江島の母牛を食用にブランド化した「緋桜(ひざくら)肉」が、沖縄の産業まつりに初めて登場した。出産を経験した牛は「経産牛」と呼ばれ、肉質が劣るとのイメージから安値で取引されてきたが、赤身が強く、脂っこさも少ない特徴を逆手に取り、食べやすいように独自の肥育技術で改良を重ねた。
ブランディング支援などを手掛けるイノベスタ(浦添市)が伊江村の農家と協力して取り組みを進めてきた。畜産業界は餌代の高騰が長引き、経営は深刻さを増している。「経産牛」の肥育ノウハウを他地域にも広げ、農家の所得向上などにつなげたい考え。
「緋桜肉」とのブランド名は、肉の赤身に沖縄らしいカンヒザクラの濃い赤のイメージを重ねた。まつり会場では牛串やサイコロステーキ、ソーセージを販売している。同社の根路銘一亮社長は「県民に広く食べてもらい、経産牛の新たな手法について知ってもらいたい」と話した。
(當山幸都)