製糖工場で発生する規格外の加工黒糖を使った商品開発を手掛けた名護商工高校と製パンのオキコストア(西原町)、北部製糖(浦添市)は5日から、共同で企画した4品のパンを発売する。オキコストアが運営するベーカリー10店舗で、11月30日まで販売する予定だ。
プロジェクトは、名護商工高校地域産業科地域創生類型の3年生11人が、地域課題解決に取り組む学習の一環で実現した。前年度に北部農林高校から規格外加工黒糖を使った商品開発の依頼を受けたことがきっかけで、北部製糖の課題解決に向けて動き出した。
北部製糖の工場では、黒糖製造時に生じるダマ状の規格外加工黒糖を、便宜的に「エバ糖」と呼んでいる。同社によると、エバ糖は1日に約4トンも発生。再度溶かして成分調整をした上で黒糖に変えるため、大型機械の稼働コストや環境負荷が高く、再利用が課題となっていた。生徒らは今帰仁村にある工場を実際に見学するなど課題を共有。オキコストアに商品開発と販売の協力を取り付け、商品開発シートを作成してパンのアイデアを提案し、4品のパンが完成した。
コラボ商品は、エバ糖を練り込んだ生地をきなこシュガーと組み合わせた「黒糖きなこ揚げパン」(税抜き150円)、ホイップにエバ糖を混ぜ込んだ「黒糖うずまきパン」(同180円)、黒ごまを練り込んだ生地でイモとエバ糖を包み込んだ「黒糖おさつ」(同210円)、牛乳クリームとエバ糖を混ぜ合わせたクリームを挟み込んだ「エバ糖くりーむちぎりパン」(同220円)。
生徒の仲尾月葉さんは「パンを通してエバ糖を多くの人に知ってもらいたい」と話した。髙里リアさんは「自分たちが考えたものが商品化され、うれしい。多くの人に買ってほしい」と笑顔を見せた。
オキコストア企画開発課の上間菜々美さんは「今回のコラボをきっかけにエバ糖の存在を知った。今後も地域に貢献できる商品を作っていきたい」と話した。
北部製糖今帰仁事業所の大兼久正人所長代理は、原料メーカーとしてエバ糖の商品開発は難しかったとし「エバ糖の知名度が上がってくれるとうれしい」と述べた。8日と22日には午後1時から生徒らがオキコストアのパン工場イオン名護店で試食販売する予定。
(玉寄光太)