チャレンジ精神があり、沖縄の若者の目標となる県出身者に贈られる「ロッキーチャレンジ賞」の15回目の授賞式と記念講演が1日、西原町の琉球大学であった。同賞を主催する仲村巌チャレンジ基金から、工学博士で三菱総研の新田(あらた)英之主席研究員に記念盾と賞金100万円が贈られた。
新田さんは那覇市出身。小学校卒業後沖縄を離れ、東京大学やハーバード大で半導体チップとバイオの融合領域、フランス・キュリー研究所で一分子生物学の研究に従事した。2022年から三菱総研で勤務する。
「外界から沖縄を俯瞰(ふかん)する」と題した記念講演で、新田さんは沖縄を日本の縮図と捉えた伊波普猷ら先人の言葉を紹介。アジアの研究者が西洋で生まれた科学と自身の文化的背景の間で経験する確執を説明し、沖縄人が本土で仕事をする際にも少なからず同様の確執があったと指摘した。
時代が移り変わり、グローバルからVUCA(変化が激しく、不確実で複雑、あいまい)な時代に向かう中で、アイデンティティーの重要性を強調。今を生きる沖縄の若者へのメッセージとして「ぜひアイデンティティーを見直して、よりどころにしてほしい」と語った。