琉球大学医学部形成外科の清水雄介教授が考案した手術器具「コウプライト」が国内外で普及している。手術の際に開口部を広げる「筋鈎(きんこう)」と呼ばれる器具を改良したもので、先端部分が光る仕組みにした。筋鈎が光ることで、手術する箇所の深部まで明るく照らせる。電池で稼働できるため、インフラ施設が整っていない途上国などでの活用も期待される。
手術の際は筋鈎で開口部を広げ、照明機器を活用して施術部分を照らしている。手術で使用する照明機器は電源など大がかりな装置が必要となるほか、施術部分の奥まで十分に照らせないケースもあったという。コウプライトは筋鈎の先端を透明なプラスチックにしており、発光ダイオード(LED)で光る構造となっている。電池で使えるため電気の確保が困難な場所でも利用できる。広く普及させる目的から、価格も約10万円に抑えた。
清水氏はアフリカなど途上国で医療活動も行っており、インフラが整っていない地域でも活用できる医療機器の必要性を感じていたという。照明機能を備えた筋鈎を発案し、医療機器などを取り扱う安井(宮崎県)の協力を受けてコウプライトを完成させた。2016年に発売し、国内では150以上の病院やクリニックで採用されている。6月には韓国に出荷しており、11月には台湾で展開する。欧州などの市場にも視野に入れる。
清水氏は「コウプライトは海外でも注目されている。日本発の医療機器として世界に出して、困っている途上国の人たちにも還元できるようにしたい」と決意を述べた。