障がいの有無に左右されない読書環境の整備について考える「読書バリアフリー講演会」が14日、那覇市の沖縄県立図書館で開かれた。専修大学文学部の野口武悟教授、植村八潮教授がそれぞれ講演した。野口さんは、誰一人読書を諦めない環境を実現するために「自分にとって読みやすくても、そうではない人たちがいると知ることがまず一歩目だ」と話した。
野口教授によると、国内で年間約7万5千冊の本が出版されるが、障がいがある人たちにとって読める本はそのうち数%だという。野口さんは「さまざまなニーズに対応した資料や機器の充実が求められる。誰もが無料で等しく利用できる図書館の果たす役割は今後ますます大きくなる。しっかり予算が確保されることが大事だ」と説明した。拡大機や音訳サービスなどの補助方法も紹介した。
電子書籍研究などをしている植村教授は、学校図書館における電子書籍利用の調査結果を紹介した。2016年に小学校高学年・中高生を対象にした調査では、約3千人超の回答のうち25%が「ぜひ使いたい」、44%が「あれば使いたい」、31%が「使いたくない」で、約7割が電子書籍の利用に前向きだった。また月に1冊も本を読まない高校生への調査では、電子書籍が「あれば使いたい」と答えたのは53%だった。植村教授は「子どもの読書活動の推進で、電子書籍の役割は大きい。学校図書館のデジタルトランスフォーメーション(DX)化が求められる」と説明した。
(嘉数陽)