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「琉球史」教員が学べる環境を 県小中歴史教育研究会が12月3日に講演会 副会長に聞く


「琉球史」教員が学べる環境を 県小中歴史教育研究会が12月3日に講演会 副会長に聞く 「沖縄の歴史の授業に苦手意識がある若い教員の不安を払拭したい」と語る山内治教諭=20日、那覇市の石嶺中学校
この記事を書いた人 Avatar photo 嘉数 陽

 県小中学校歴史教育研究会(屋比久守会長)は12月3日午後2~4時、那覇市文化芸術劇場なはーと小劇場で講演会を開く。研究会は発足から1年3カ月、過重な業務負担から沖縄の歴史を学ぶ余裕がない教員のサポート体制の構築を目指してきた。研究会副会長の山内治教諭に課題や展望を聞いた。

 ―琉球・沖縄の歴史を教えることの意義は。

 「日本の歴史を中心に記した教科書では琉球・沖縄の歴史を体系的に学べず、沖縄の教員は独自の学びと教材が必要となる。しかし教員は多忙で、思いはあっても学ぶ時間の確保が十分にできていない。沖縄の未来の在り方は、これまでの歴史に学んで考えることが重要だ。教員の学びを支援したい」

 ―教員が抱えている課題は。

 「2022年に研究会が県内公立小中・特別支援学校の教員に取ったアンケート(回答200校)では、社会科の授業で沖縄の歴史に関する授業を実施した時間が年間で「0時間」と答えた学校が9.5%(19校)、「1~4時間」は58%(116校)だった。知識の乏しさだけでなく、どう教えていいか分からないという教員の声も大きい。教員が継続的に史実と教え方を学べる環境づくりが必要だ」

 ―具体的にどのような学びを目指しているか。

 「教職歴の長い研究会メンバーや有識者が若手教員に講座を開くこともいいだろう。私たち研究会メンバーも含めた教員が、学校がある地域住民からその土地の生活史を教えてもらうことも効果的だと考えている。歴史文化は身近な場所から捉え、徐々に範囲を拡大していく方法がいい」

 「今年6月に南風原町で開催した第1回シンポジウムでは、意外に教員以外の一般の参加者が多く、『どうしたら多忙な先生たちを支えられるか』という声が多かった。地域をよく知る住民から地域の歴史を学び、一緒に継承に向けた教育の在り方を模索することも大事ではないか。この点は講演会でも議論したい」

 (聞き手・嘉数陽)

    ◇   ◇

 講演会は参加無料。第1部は琉球歴史研究家の賀数仁然(ひとさ)さんによる歴史講演がある。第2部は「どうつなぐ」をテーマに賀数氏、山内氏、津波信一氏のパネルディスカッションがある。誰でも参加可能。問い合わせは研究会事務局、電話090(5281)0076。