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Z世代の読者事情 知念秀明(県教委高校生読書リーダー育成研修担当)<未来へいっぽにほ>


Z世代の読者事情 知念秀明(県教委高校生読書リーダー育成研修担当)<未来へいっぽにほ> 知念秀明(県教委高校生読書リーダー育成研修担当)
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 「若い子たちはマンガをよく読むが、活字の本はあまり読まない」。皆さんはどう思いますか。沖縄県の読書実態調査でもそのような結果が出ています。その理由は?

 前回ご紹介した「高校生読書リーダー育成研修」で、高校生たちがその理由について話し合いました。ある生徒が、「マンガは『ながら』ができるけど、活字の本は『ながら』ができないから」と意見を述べました。つまり、マンガは別のことをしながら読めるけど、活字の本は読めないと言うのです。「楽しいから」とか「読みやすいから」という理由ではなく、「効率重視」という理由があることに衝撃を受けました。読書だけに専念するのは、いわゆるZ世代にとって効率が悪いのかもしれません。

 動画視聴でもZ世代の効率重視の傾向が見られます。損保ジャパンの18~57歳を対象とした「若者の動画視聴の実態調査」では、動画を「倍速」で視聴する割合はZ世代が最も高く70.0%でした(最低は就職氷河期世代の55.5%)。そういえば「聞く読書」もはやっていますね。聞きながら別のことができるのも「売り」のようです。

 読書リーダー研修では高校生たちが、読んだことのない本の概要を知りたい時、「要約動画」を見ていました。YouTuberが本の解説をしてくれます。しかも倍速で。

 便利なツールは増えましたが、早く情報を得ることが読書の目的となっていて、物語の世界に入り込んだり、表現を楽しんだりすることが目的にはなりにくいようです。でも実は、私たち大人が子どもたちに、日々「効率の良さ」を押し付けていないかなと、ふと思ったのでした。