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「はっ?」 山城勝秀(山城塾(無料塾)代表) <未来へいっぽにほ>


「はっ?」 山城勝秀(山城塾(無料塾)代表) <未来へいっぽにほ> 山城 勝秀
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 塾にはさまざまな課題を抱えた子どもたちが通う。

 不登校で発達障がいの疑いがあり、勉強も苦手で5年間も私の塾に通った生徒がいた。彼は私が話しかけると、いつも「はっ?」と聞き返す。少し耳が遠いのだなと思ってあまり気に留めなかったが、中学3年生になって、「先生の声が2倍速になって聞こえるので聞き取れない」と言われて驚いた。それが学習意欲に影響を与え、不登校になることも考えられる。APD(聴覚情報処理障がい)の可能性もある。

 またある生徒は集団に入ることが極端に苦手で、学校も休みがちであった。母親が息子を案じて塾に入れたのだが、塾に来る時は「誰か塾にいる? 何人ぐらいいる?」と電話で確かめて、人数が少ない日に来るのだ。塾に来ても小さな部屋に隠れるようにして、読書をして過ごすことが多かった。しかし塾で行うお楽しみ会に家族が手伝いに来た時はうれしそうで、大勢の中でも楽しく過ごすことができた。家族が本人の特性に寄り添うようにしたことが功を奏したのであろう。それから学校を休むことはなくなったが、学級には入れず別室で過ごしていたようだ。

 今思えば、この生徒はHSC(Highly Sensitive Child)の可能性もある。「音や匂いに敏感で、にぎやかな場所や集団行動が苦手といった傾向がある子」らしく、学校生活になじめず不登校の原因になることもあるという。

 「発達障がい」や、発達障がいとは違う「HSC」など、課題を抱えた子どもたちは生きづらいのが現状であるが、「全ての子どもは適切に養育されること」が保障されなければならない。