聴覚障がい者向けのライブ字幕を提供するアイセック・ジャパン(沖縄県うるま市)で働く崎原のえみさん(23)。沖縄市出身で短大の総合ビジネス学科を卒業した。現在はライブ字幕のオペレーション業務に携わる。短大在学中に120万円の奨学金を借りた。毎月約9千円を33歳まで返済し続ける予定だ。
アイセック社は昨年8月、従業員の奨学金返済を補助する制度を導入した。会社は本人返済額の4分の1(上限月1万5千円)を負担する。県の補助事業も利用し、県も会社と同額を補助しているが、県の補助事業は年齢や借り入れ名義などの適用条件もある。
アイセック社は県の補助対象外となる従業員にも、独自の支援策として補助を支給している。従業員65人のうち、5人に補助している。
一瀬宗也社長は財務負担について「従業員の労働環境の改善や人材確保の効果を考えると、メリットの方が大きい」と断言する。
「物価も上がっているので返済の負担が減るのは助かる」と話す崎原さん。「家計の面で進学自体も悩んだが、奨学金があったから進学できた」と奨学金の意義を語るが、同時に「返済を考えると短大に通うのが精いっぱいだった。コロナ禍で将来への不安もあり、お金の面で4年制大学への進学を諦めた。学ぶ意欲のある人の選択肢を奪わないでほしい」と話し、日本の学費の高さを指摘する。
一瀬社長自身も奨学金を借りて大学に通った。だが当時の国立大学の学費は年間10万円に満たない程度だった。「あの頃に比べ、学費負担は圧倒的に大きくなった。沖縄は全国でも奨学金を借りている若者が多いと聞く。社会施策として学費の減免や返還の支援が必要だ」と話した。
(島袋良太)