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「奨学金のおかげで進学できた。けど…」 4年制を諦め、企業から支援 返済負担が「学ぶ選択」の足かせに


「奨学金のおかげで進学できた。けど…」 4年制を諦め、企業から支援 返済負担が「学ぶ選択」の足かせに 会社の支援も受けながら奨学金を返済して活躍する崎原のえみさん=18日、うるま市のアイセックジャパン
この記事を書いた人 アバター画像 島袋 良太

 聴覚障がい者向けのライブ字幕を提供するアイセック・ジャパン(沖縄県うるま市)で働く崎原のえみさん(23)。沖縄市出身で短大の総合ビジネス学科を卒業した。現在はライブ字幕のオペレーション業務に携わる。短大在学中に120万円の奨学金を借りた。毎月約9千円を33歳まで返済し続ける予定だ。

 アイセック社は昨年8月、従業員の奨学金返済を補助する制度を導入した。会社は本人返済額の4分の1(上限月1万5千円)を負担する。県の補助事業も利用し、県も会社と同額を補助しているが、県の補助事業は年齢や借り入れ名義などの適用条件もある。

 アイセック社は県の補助対象外となる従業員にも、独自の支援策として補助を支給している。従業員65人のうち、5人に補助している。

 一瀬宗也社長は財務負担について「従業員の労働環境の改善や人材確保の効果を考えると、メリットの方が大きい」と断言する。

 「物価も上がっているので返済の負担が減るのは助かる」と話す崎原さん。「家計の面で進学自体も悩んだが、奨学金があったから進学できた」と奨学金の意義を語るが、同時に「返済を考えると短大に通うのが精いっぱいだった。コロナ禍で将来への不安もあり、お金の面で4年制大学への進学を諦めた。学ぶ意欲のある人の選択肢を奪わないでほしい」と話し、日本の学費の高さを指摘する。

 一瀬社長自身も奨学金を借りて大学に通った。だが当時の国立大学の学費は年間10万円に満たない程度だった。「あの頃に比べ、学費負担は圧倒的に大きくなった。沖縄は全国でも奨学金を借りている若者が多いと聞く。社会施策として学費の減免や返還の支援が必要だ」と話した。

 (島袋良太)