沖縄県は2022年度から従業員の奨学金返済を支援する中小企業に対し、企業が負担する額の半分を補助する制度を始めている。県産業政策課によると、同制度を利用しているのは22社(11月現在)。奨学金の返済を支援することで職場への定着を図り、高いスキルを持つ人材の育成につなげたい考えだ。
県の補助上限は1人当たり年間9万円。月々の奨学金返済額のうち、本人が半額を負担し、残りは半分を企業と県が折半する仕組み。補助期間は最長5年。県によると事業を始めた22年度の利用実績は16社、82人、補助実績は192万円だった。
一方、22年度の補助実績は確保した予算枠600万円に届いておらず、県産業振興企画班の兼島篤貴班長は「事業の知名度向上は大きな課題だ。積極的に利用してほしい」と話す。
23年度は22年度に比べて利用する企業は増加傾向にあり、予算枠も1200万円に増やした。導入している企業は建設、IT、サービス業など多様だという。
県によると、企業を通して奨学金返済を支援する仕組みを導入しているのは全国で7府県。兵庫県が全国で最初に始めた。兼島班長は「給付型奨学金の要望もあるが、現在返済義務のある人を支援する需要もある。支援の仕組みがあることで、繰り上げ返済をして早く負債をなくすメリットにもなる」と説明した。
(島袋良太)