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県内校、産業医選任69.2% 文科省調査 全国2番目の低さ 沖縄


県内校、産業医選任69.2% 文科省調査 全国2番目の低さ 沖縄 イメージ
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 労働安全衛生法で教職員50人以上の学校に義務付けられている産業医の選任率について、沖縄は2023年5月1日現在で、全国平均の93.6%を大きく下回る69.2%だったことが9日までに文部科学省の調査などで分かった。調査対象は公立の小中高校や特別支援学校などが対象。沖縄の小中の選任対象校では半数以上が設置できていない。

 精神疾患による教員の休職者が増加し、メンタルヘルス対策が急務とされる中、教員の心身の健康を守るための土台となる健康管理体制の整備が喫緊の課題となっている。

 産業医は労働者の健康を管理し、健康に関する相談やストレスチェックなどを行う。労働安全衛生法などに基づいて、教職員50人以上の学校は学校設置者(教育委員会)が産業医を選任する必要がある。

 沖縄の産業医選任率は69.2%で、全国最下位だった2021年の調査68.8%から0.4ポイント増だったが、全国2番目の低さだった。7割を下回ったのは沖縄と青森の2県で、100%は高知など11県だった。

 沖縄の校種別選任率は、小学校が45.3%(全国平均85.3%)、中学校が48.7%(同90.6%)と半数を下回った。県立学校と特別支援学校は100%だった。県教育委員会働き方改革推進課によると、小中学校の対象は計92校で、そのうち49校で産業医が選任されていなかった。

 同課の担当者は法令違反となる可能性があるとして「絶対に順守しないといけない。市町村教委と認識を共有し、役割と責任に基づいて整備改善に努める」と取材に答えた。

 県教委は本年度、市町村教委での研修会や意見交換で整備を進めるよう法令順守への理解啓発などをしている。一方で、小中学校の産業医の確保について、市町村教委からは「地域で人材が見つからない」「報酬面で折り合いがつかない」などの声があるという。

 文科省が25年に行う調査を待たずに、県教委は24年度、県内小中学校での産業医の選任率を県独自で調査する方針だ。2月29日の県議会2月定例会の一般質問で、半嶺満県教育長が、仲村未央氏(おきなわ新風)への答弁で明らかにした。結果を基に地域の実情に応じて改善に努める。

 県内小中学校の産業医の配置を巡っては、那覇市が23年7月、市内小中学校で産業医の配置を進める方針を示している。

 調査は、文科省が各年で実施している。 

(高橋夏帆)