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奨学金情報 見逃さないで 久米忠史(奨学金アドバイザー、まなびシード代表取締役) <未来へいっぽにほ>


奨学金情報 見逃さないで 久米忠史(奨学金アドバイザー、まなびシード代表取締役) <未来へいっぽにほ> 久米忠史
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 日本学生支援機構(JASSO)の2020年度の学生生活調査によると、大学生の49.6%が何らかの奨学金を受給していることが報告されている。平均所得が低くひとり親家庭が多い沖縄では昔から奨学金へのニーズが非常に高い。

 そのため、県内高校では進路指導部内に奨学金担当が配置され、担当教諭は生徒や保護者への情報提供や個別相談に応じている。中には国だけでなく自治体や民間の奨学金情報を独自に整理した資料を配布する熱心な教諭もいる。沖縄は進路指導部内で生徒の進路と家庭事情の情報が共有できる体制が整っているといえる。

 ところが筆者の知る限り、県外の高校では様子が異なる。進路指導部と奨学金担当が切り離されているケースが多く、特に進学校ほど奨学金への関心が薄い。沖縄に次いで給付型奨学金の採用率が高い青森県でも進路指導部外の教員が業務を担当している。

 個人的には沖縄の方が生徒や保護者にとっては良い体制だと考える。なぜなら、最も利用者数の多いJASSOの奨学金では、高校3年生時点で申請する「予約採用」が主流となっているからだ。JASSOの奨学金は、貸与型・給付型ともに予約採用と大学等への入学後に申請する在学採用の二つの方法がある。JASSOの19年度業務実績等報告書によると、奨学金新規採用者の7割以上が予約採用の申請者だ。

 予約採用は4~5月、6月、7月と3回の募集期間が設けられている。ただし、募集回数や締め切り日は各高校に一任されているため、2回目以降の募集を行わない高校もある。そのため、高校3年生の新学期には校内の奨学金説明会を見逃さないでほしい。

久米忠史 くめ・ただし

 奨学金アドバイザー。まなびシード代表取締役。2004年から沖縄の高校で始めた保護者・高校生向けの奨学金ガイダンスが好評で、現在は全国各地で講演を行う。1968年生まれ、和歌山県出身。