「第48回全国高校総合文化祭」(7月31日~8月5日・岐阜県)の美術・工芸部門の全国展に宮古島市出身で現在、陶磁器などを学ぶ岐阜県立多治見工業高校3年の安井詩朗(うたろう)さん(17)の作品も並んだ。環境汚染をテーマに地元宮古島の海に思いをはせた作品を制作した。陶芸作家になる将来の目標に向かって親元を離れ、国内最大の陶磁器産地・岐阜県東部で邁進(まいしん)する。
作品名は「侵食された魚」。横幅約40センチ、奥行き約50センチ、高さ約70センチの魚をモチーフにした作品だ。魚の造形は海洋を表し、所々に青いトゲを密集させて汚染でむしばまれる様子を表現した。釉薬(ゆうやく)と陶芸用の絵の具で着色し約5カ月で完成させた。「幼少期に海岸にゴミが漂着する様子やサンゴの白化を目にしていた」と話す。
1日、岐阜市の県美術館で美術・工芸部門の作品を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と長男悠仁さまに、代表生徒の1人として作品を紹介した。
両親は陶芸作家で宮古島市で陶芸工房を開いている。幼少期から粘土に触れ久松中学校を卒業後、岐阜県の県外募集枠で多治見工業高セラミック工学科に進学。名古屋市の祖父母宅から通学する。陶芸部などで技術を磨く。
平日は放課後など2時間を制作に充て、長期休暇中は1日約7時間没頭する打ち込みぶり。昨年の「全国やきもの甲子園」で優秀賞、今年5月の「日本新工芸展」高校部門で最優秀賞に輝くなど頭角を現している。陶芸部顧問の尾木卓弥さんも「学校の成績も良く、こつこつと制作している」と太鼓判を押す。
安井さんは陶芸を専門に学ぶ同高校専攻科への進学を志望している。将来の夢は陶芸作家になり、生まれ育った宮古島市に戻ること。「納得したものが作れるよう、作り続けたい」と、焼き物の街で研さんに励む。
(高橋夏帆)