【動画】砂地に伸びる半透明のベロベロの正体は…タテジマユムシ<沖縄・海の生き物たちvol.15>


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砂地のベロベロ

先日、干潟を歩きました。一面平らな干潟でも、生き物にとっては、砂粒の大きさや水のたまり具合など、少しずつ環境が異なります。もし、細かい砂地で、潮が引いてもうっすらと水が残る場所があったら、砂の表面をよーく見てください。幅が約1センチメートル弱で長さ20センチメートルくらいの、半透明な帯状のものが、砂の上にベロベロと伸びていませんか。そっと近づいて、ベロを触ってみると…一瞬で砂の中に引っ込みます。近くをバシャバシャ歩いても引っ込んでしまうので、探すときは静かに歩くのがコツ。で、引っ込んだあたりの砂をちょっと掘っても、本体は見えず。かなり深くまで縮んでしまうようです。

これ、タテジマユムシという生き物。砂の上に伸ばすのは吻(ふん)で、非常に伸び縮みします。本体は5〜10センチメートルくらいの、赤くて柔らかいソーセージ状。薄いピンク色の縦じまもようがあります。

ユムシのご飯はナマコと同じ、砂や泥に混ざった有機物なので、これも砂をきれいにする生き物です。でも、食べ方はだいぶ違います。ユムシは長く伸ばした吻(ふん)の上に砂や泥を乗せて、ベルトコンベアーのように口まで運ぶんです。
この仲間、昔は「ユムシ動物」という独立した分類グループだと思われていましたが、最近の遺伝子研究で、実は「環形動物」という、ミミズやゴカイに近い生き物だと分かりました。身近な干潟の生き物にも、まだまだ謎と不思議が残されています。

Vol. 15 タテジマユムシ

Listriolobus riukiuensis

● 目:キタユムシ目 Echiuroinea

● 科:キタユムシ科 Echiuridae

● 属:タテジマユムシ属 Listriolobus

 

動画撮影:タテジマユムシ 2014年5月2日(南城市・佐敷干潟)、2019年2月21日(南城市・玉城海岸)

動画撮影・編集&執筆

鹿谷法一(しかたに・のりかず しかたに自然案内)

琉球大卒、東大大学院修了、博士(農学)。広島に生まれ、海に憧れて1981年に沖縄へ。専門はカニなどの甲殻類。生き物の形とはたらきの関係に興味がある。最近は、沖縄の貝殻を削って磨くシェルクラフトを行っている。

鹿谷麻夕(しかたに・まゆ しかたに自然案内)

東洋大、琉球大卒。東大大学院中退。東京に生まれ、20代半ばでサンゴ礁に興味を持ち、1993年に沖縄へ。2003年より、しかたに自然案内として県内で海の環境教育を始める。しかたに自然案内代表。手作りぬいぐるみで海を伝える、あーまんシアターも主宰。

 

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