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首里劇場 16日から変遷たどる写真展<沖縄まぼろし映画館>172


首里劇場 16日から変遷たどる写真展<沖縄まぼろし映画館>172 2016年の「やちむん25周年LIVE at首里劇場」の様子
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 沖縄に現存する最古の映画館「首里劇場」の写真展を、那覇市のパレットくもじ9階にある映画館「シネマパレット」で開催することになった。

 「首里劇場」は1950年の開館以来、今も創建時とほぼ変わらない姿を保ち続ける映画館だ。

 写真展のきっかけは、今月22日より「シネマパレット」で公開予定の映画『一生売れない心の準備はできてるか』だ。私たちシネマラボ突貫小僧としげなすレコードが共同製作した作品で、長年にわたり沖縄で音楽活動を続けてきた「やちむん」(現在は「やちむん刺激茄子」に改名)のリーダー・奈須重樹を主役にしたドキュメンタリーである。

 映画のメインとなるのが、「首里劇場」で開催した「やちむん」の結成25周年ライブ(2016年)の模様だ。当時、すでに老朽化が進み、普段の成人映画興行では客足がまばらな「首里劇場」だったが、このときばかりは大勢の観客が詰めかけてほぼ満員となった。そして華やかな美術と照明で彩られた舞台では、18人編成のビッグバンドによる迫力あるライブが繰り広げられた。その熱気は、まるで劇場の全盛期にタイムスリップしたかのよう。まさに奇跡の瞬間といえる。

 そんな映画の「影の主役」である「首里劇場」を知ってもらおうと、写真展を企画した。

 目下、私たちが長年にわたり収集してきた劇場の写真を選定しているのだが、50~60年代の写真は結構ある一方で、70~90年代の写真はほぼない。その時期は「首里劇場」が成人映画専門館へのシフト中だった時代である。しかし2000年代に入ると再び写真が増えだす。これは「首里劇場」の価値に気づいた人々がさまざまなイベントを開催するようになったからである。その先鞭(せんべん)をつけたのが、私たちが2007年に開催した『探偵事務所5・マクガフィン』の上映会だと自負している。あれから16年がたったが、沖縄の文化遺産である「首里劇場」を1人でも多くの方に知っていただきたいという思いは今も変わっていない。

 会期は16日(土)~10月5日(木)。「首里劇場」がたどった時代の変遷を、多数の貴重な写真を通してご覧いただく予定だ。無料なのでぜひ遊びに来てほしい。

 (平良竜次、シネマラボ突貫小僧・代表)
 (當間早志監修)
 (第2金曜日掲載)