「ゲゲゲの鬼太郎」や「ルパン三世」「キン肉マン」など多くの人気作品を手がけたアニメ監督の白土武(しらとたけし)さん(78)が講師を務め、沖縄の子どもたちにアニメ作りを体験してもらう取り組みが始まっている。県内小学生約30人が作画に挑戦し、このうち約10人は声優としてアフレコも行い、オリジナル作品を作る。制作や上映に必要な費用についてクラウドファンディングで支援を募っている。
企画は日本のアニメ作りを次代へ継承することが目的。海外にも広がる日本のアニメだが、デジタル化が遅れ、制作工程が非効率な点や、待遇面に課題があるという。
一方、中国や韓国が作画技術を伸ばしている。そうした課題がある中、日本でアニメ業界を目指す若者の裾野を広げようと企画した。沖縄での取り組みを皮切りに、全国各地で企画したい構えだ。
今回、制作するオリジナル作品は約10分。首里城が怪物に乗っ取られてしまう架空の物語だ。おばぁと子どもたちが力を合わせ、首里城を取り戻そうとする。子どもたちが作画した「わたぶー」「みみがーん」「てんぶすん」という3体の怪物が登場するという。
企画に参加した小学生らが沖縄ラフ&ピース専門学校で開く3~4回のワークショップで作画を進めていく。来年4月上旬に無料の上映会を開く予定。
白土さんは今回の企画を始める前にも、昨年10月に渡嘉敷村、今年1月に中城村などで子どもたちを対象にしたアニメ作りの講座を開いた。
沖縄でアニメ作りを指導する中で「目を輝かせる子どもたちの熱意が大人にも伝わる」と白土さん。子どもたちの豊かな想像力に触れ「大人に想像がつかない世界がある。(担い手が増える)きっかけをつくりたい」と支援を呼びかけた。
(古堅一樹)