「HY」が熱く語った1時間 沖縄で主催フェスは異例の2万人が来場!「最初は自己満も…」【独占インタビュー&動画】#1


「HY」が熱く語った1時間 沖縄で主催フェスは異例の2万人が来場!「最初は自己満も…」【独占インタビュー&動画】#1
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今年で結成24年を迎える沖縄県うるま市出身の人気バンド「HY」。地元・沖縄で主催する「HY SKY Fes」が3月22~24日、県総合運動公園多目的広場で開催される。5回目となるフェスを前に、メンバーの新里英之(Vo&Gt)、仲宗根泉(Key&Vo)、名嘉俊(Dr)、許田信介(Ba)に琉球新報が独占インタビューした。2023年は3日間で約2万人が来場するなど沖縄を代表するイベントに定着したフェスに懸ける思い、メンバーの関係性の変化、名曲「366日」のドラマ化など、1時間超に及んだインタビューを2回にわけて紹介する。

(聞き手=大城周子・田中芳)

※記事末にはプレゼントのお知らせもあるのでお見逃しなく!


▲HYからのメッセージ(インタビュー動画の全編は後編#2で閲覧できます)

――子どもたちに夢が生まれるきっかけや居場所を作ってあげたいという思いで始めたフェスは5回目となる。回数を重ねて感じることは。

新里 本当に大きなフェスに成長しました。HYらしいスカイフェスって何なんだろうと作っていくうちに、ハンドメイドでできるところはメンバーが全部参加して、 企画も立てていった。スタッフの力も借りて1回目、2回目と徐々に要領が分かってきて。県外のアーティストを呼んでみるのもいいよねってアイデアがどんどん生まれてきて。

再利用した板に出演アーティスト名を書いていくんですよ。1番は誰々、2番手は清水翔太、加藤ミリヤ…とか。これを書くのが本当にうれしくて。すてきなアーティストが出てくれるな、やばいな今回もって。前年のを塗りつぶしていく作業もエモいんですよ。

――1回目は手探りだったと思います。今思い返してどうでしたか。

名嘉 寒かったっすね(笑)。

新里  嵐だったね。

名嘉 だんだんと(回数を)重ねていくごとに、少しずつ少しずつ深く掘っていってる状態だと思んですよ。お客さんをもっといっぱい呼びたいとか、会場をもっとでっかい場所でやりたいとかっていうのは、力を合わせたらできそうな感じはするんですけど…。スカイフェスの正体(正しい姿)を深く掘っていくのが、すごく難しいけど大切なこと。「With Children(ウィズチルドレン)企画※」で、フェスの裏側とかいろんな角度で見てほしいっていうのが形になっていったんですよ。それがすごく大事だなと思ってて。自分たちが見たかった景色と見せたい景色だったかもしれないなって。障害のある方に対してもタブレットを使って一緒に楽しんでもらう。スカイフェスの「空はどこまでもつながっている」というテーマに全部つながっているんじゃないかなと思います。

※ウィズチルドレン企画:ドキュメンタリー映画の製作や、新聞記者、カフェの体験を通して子どもたちにさまざまなことに興味を持ってもらうための企画。

インタビューに応える(左から)許田信介、新里英之、仲宗根泉、名嘉俊=2月5日、沖縄市(喜瀬守昭撮影)

――ステージのアーティストを眺めるだけじゃなくて、「わったー(私たちの)フェス」という感じでお客さんもフェスを作る一員になっている印象があります。皆さんが子どもたちの姿から刺激を受ける部分はありますか。

仲宗根 刺激はずっともらっている。自分たちは楽器を持ってきてくれる人がいるのが当たり前で、そこにマイクがあったり照明が当たっていたりというのが当たり前。24年もやっていると、最初は「すごいすごい!自分たちのために大人たちがこんなにやってくれるんだ」っていう気持ちだったのがやっぱり薄れてくるじゃないですか。 だけど、アーティストを取材する子どもたちの緊張感とかを間近で見ると、本当にやってよかったなってすごく思える。

最初の頃は“自己満”の部分もあったんですよ。子どもを舞台に立たせて夢を育んでもらえればいいっていう感じだったんですけど、子どもたちと私たちが一緒に延々とライブしてもHYのファンか親御さんしか見に来ないんですよね。そうなると集客につながらないし、広がらない。それで他のアーティストの方を呼んでみようと。ただ、アーティストを(複数)呼ぶフェスって県外にもいっぱいあるじゃないですか。それと同じだとHYらしくないし「子どもたちに夢を」というやりたかったことと違ってくる。そうならないように、ウィズチルドレン企画をやった。

許田 入り口に飾ってあるフラッグとかもそうですよね。 自分の夢だったり、好きなものを書いてもらったりして飾ってるんです。それを見てると、僕たちも力になる。かつて描いてた夢を思い返すこともできますし。そういう部分から一緒に作れてるっていうのは本当にいいフェスだなっていうのは思いますよね。

――キーワードとして「手作り」というのが大きい。

仲宗根 自分が来たときに「かわいい」って思えるようなフェスにしたいっていうのも、おもてなしの一つかなと思っている。 ここまでアーティストがやるのかっていうぐらいやる。もう実費でやってますから。他のフェスだとアーティストがある程度こういう趣旨ですって話した後は、スタッフがそれをくんでやってくれるのが普通だと思うんですが、私たちの場合は全て入っていきます。

廃材をもらいに行ったり、自分たちで探しに行くこともある。男子メンバーには海に落ちてるでっかい流木を拾ってもらったり。3人も私の意見や作りたいものに賛同してくれて、じゃあ次何やる?次何やる?っていうふうに言ってくれて。やりたくなかったら「俺ちょっと今日休みなんだけど…」みたいな感じになるじゃないですか。「お前がやりたいことなんだからお前がやっとけ」じゃないけど、そうならないところがHYの良さで、グループでやってるっていう意識がちゃんとある。

楽器作りのワークショップの様子=2023年

――アーティストがプロデュースしたり演出したりということはある。でも実際に手を動かして大道具さんみたいなことまでして、というのは珍しい。その情熱はどこからくるんですか。

名嘉 自分たちが行きたいフェス、というのがやっぱりあります。 例えば、今回のスカイフェスはモンパチ来てたね、Awichもいたね、でもなんか帰りも(会場が)きれいじゃなかった?みたいな。アーティストももちろんなんだけど、このフェスのファンになってほしい。

――出演アーティストが替わっても行きたいと思うような。

名嘉 そうそう。スカイフェスは行くよな、みたいな。昔からやっている例えばうるま祭りや那覇祭り(那覇大綱挽まつり)みたいなものにしたいんですよ。だから、そのためには自分たちが動いて、頑張っているスタッフさんたちも見ておかないとスカイフェスがいつまでも完成に近づいていかないんじゃないかなっていう思いがある。

仲宗根 キッチンカー以外は自分たちで全部決めてるんじゃないかな。演者さんも自分たちが一番呼びたい人。プロの姿を見せたいというのがあって、小学生以下を無料にしてるのもそういう意味がある。私は中学生の時に初めてウルフルズのライブを見に行って、生で見る迫力にすごい刺激があったんですよね。だから、子どもの頃からこの刺激を受けるってことがどれだけ大事かっていうのを体感している。

初めての主催フェスで地元の人たちに演奏を聴かせるHY=2011年12月23日、うるま市与那城

――今回のスカイフェスは沖縄出身のアーティストでMONGOL800とAwichさんが初めて参加します。

名嘉 純粋に好きっていうのがあって。MONGOL800のキヨサクさんとか悟さんにはすごくよくしてもらってるんで、絶対歌ってほしいと声をかけさせてもらった。Awichさんは「世界の若者ウチナーンチュ大会」の時に一緒になって、Awichさんの娘さんも自分たちのミュージックビデオに出演してもらったりとかもしていた。あそこまでストイックに努力をして夢を追いかけ続ける姿は、絶対に子どもたちにも響くと思う。

仲宗根 スカイフェスならではじゃない?こんなにジャンルが違う人を呼べるというのは。フェスってなんかそれぞれカラーがあるじゃないですか。でもスカイフェスって本当にバラバラ。

――確かに、Awichさんはちょっと驚きでした。

仲宗根 Awichも来るけどスガシカオもマッキーもDISH//もいて、みたいなね。本当にそこもまた魅力かなって思います。

――出演アーティストたちには、どんなふうにステージを楽しんでほしいですか。

名嘉 会場に大型遊具があるんですよ。夕方5時ぐらいまでかな、子どもたちはそこで遊べるんですけど、 ステージから子どもたちが遊具の上から眺めてるのが見えるんですよ。そういうイベントって他になくて。そして子どもたちは多分、親がはしゃいでる姿を見てるんですよ。あまり沖縄に来ることができないアーティストもいると思う。(DISH//の)北村君とかね、忙しくないわけがないので。だから少しでも楽しんでほしい。


「HY SKY Fes2024&前夜祭」は3月22~24日。小学生以下は保護者同伴で無料。タイムスケジュールやチケット種別など詳細は公式サイトへ。

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