音楽事業を展開する「アジマァ」が運営する北谷町のライブハウス「カラハーイ」が9月末で閉店する。りんけんバンドやティンクティンクなどの定期公演は10月から、同社が指定管理に入るてんぶす那覇のテンブスホールで行う。照屋林賢代表にカラハーイの歴史と今回の決断の背景、新事業として見据える映画撮影などについて聞いた。
(聞き手・田吹遥子)
―9月末に閉店する「カラハーイ」開業の経緯は。
「生きている間は音楽の仕事をしたいと思い、ビジネスを中心に考えた。1994年に会社を設立して、土地を買って、スタジオとライブハウスを造った。カラハーイは、98年にオープンした」
―当時は周囲に何もない場所だった。
「映画館があるくらいでほとんど陸の孤島だった。でも、ビーチの前に建てるのが夢だったからここに決めた」
―りんけんバンドのカラハーイでの定期公演も定着した。
「最初は決まった場所での開催がちょっと怖かった。でも売り上げは悪くなかった。午後7時開演の公演のチケットを買うために正午から観客が並ぶほど。波に乗っていた」
―建物を改築し2018年にはホテルも開業した。
「コロナ禍で15年の事業計画が全部崩れた。実際、県外から来るファンはいるが、観光客のほとんどは素通り。この場所でやる必要はないと分かった。M&A(企業の合併・買収)で相談しながら譲渡先を探した」
―閉店や事業譲渡はコロナの影響が大きいのか。
「コロナの影響もあるが、新たに映画を撮りたいという構想もある。撮影から編集など全て自分一人でどこまでできるかやってみたい。新しいレコーディングスタジオには撮影用スタジオも予定している」
「レコーディングスタジオを造るのは4回目だが、一番シンプル。(外見などの)“ガワ”ではなく機材とかミュージシャンにお金をかけた方がいいという原点に返った」
―4月から那覇市のてんぶす館の指定管理のJVに入っている。
「みんなが憧れるテンブスホールにしたい。10月からりんけんバンドとティンクティンクの定期公演をする。那覇でやるのも新しい試みだ」
―26年続けたカラハーイ閉店は新たな出発になる。
「ここから別れるさみしさもあるが、前に進むことに面白さを感じている」
「僕は音に対していつも進化したいという気持ちでやっている。ティンクティンクやりんけんバンドの新曲も予定している。皆さんが楽しめるようなものができれば」