6月22、23日、那覇市の那覇文化芸術劇場なはーとで上演される演劇「ライカムで待っとく」に、県出身の俳優、佐久本宝が新キャストとして出演する。佐久本は「役者の葛藤も見てほしい」と話した。
舞台は、雑誌記者の浅野が60年前の沖縄で起きた米兵殺傷事件について調べると、容疑者が自分の妻の祖父だったことを知るという物語。2022年に神奈川で初演され、今回は再演。沖縄では初上演となる。
佐久本は、運転手と佐久本寛二の2役を演じる。「沖縄の人の傷を客観的に伝える役。それができるのかが課題」と話す。兼島拓也の脚本は「簡単に分かってたまるかという(兼島の思いが)伝わりドキッとした」と振り返った。
沖縄の基地や戦後をテーマにした物語。佐久本は「沖縄に生まれた俳優として学ばないといけないし、伝える側になってきたことを感じる。覚悟を決めてやろうと思った」と前を見据える。「感情としては中立でいたい。じゃないと物語の本質が分からなくなる。伝えたいことが役ではなく自分のエゴになることが怖い。伝え方を間違えないようにしたい」と話した。
公演について「一瞬たりとも気が抜けない。役者の葛藤も見てほしい」と来場を呼びかけた。
(田吹遥子)