4月20日(土)・21日(日)に開催された「島ぜんぶでおーきな祭 第16回沖縄国際映画祭」。期間中に31本の映画が上映され、多くの観客が来場しました。
本映画祭ならではのプログラム「地域発信型映画」では、本部町を舞台にした『あいをたてる』のワールドプレミアが行われ、平一紘監督と出演者の松田るかさん・山内和将さん・岩田勇人さん・ちあき(ハイビスカスパーティー)さんが登壇。撮影エピソードなどを語りました。終了後、平監督・松田さん・山内さんに話を伺いました。
聞き手:饒波貴子(フリーライター)
愛情の生まれ方をテーマに
―美しい景色、藍染め工房など本部町の魅力を映し出し、描かれた人間模様も見応えある作品でした。短編映画とは思えない仕上がりで、続きが見たいです。
松田:今日初めて完成版を見たんですが、あっという間の体感で私も短く感じ、「あれ!? 何分の映画?」と思えるほどでした。
監督:25分の映画です。長編の制作はできるかもしれませんね。長編映画に例えると、前半から中盤までをギュッと凝縮したのが本作です。短編は、物足りないと思えるくらいがいいんじゃないですか(笑)。
―藍染めをキーワードに、どういう構想で制作した映画ですか?
監督:「人の愛情はどういう風に生まれるのか」をテーマにしました。藍染めには「藍建て(あいだて)」という工程があり、面白い単語だと思ったのでタイトルに使いました。そして藍の色になるまでには本当に長い時間がかかるのですが、人の感情の移ろい方に似ていると感じましたね。お互い好き同士の2人の話にすると長編になるので、短編の本作では主役は人を好きになりますが、その相手はどう思っているのか分からないという内容にしました。でも実は2人とも本気になっていて、相手は感情が壊れないように抑えていたという流れですね。
―松田さん、数々の沖縄関連作品に出演していますが、どのような思いで演じていますか?
松田:沖縄出身なので、沖縄の言葉を話せることが強みになると思っています。他県出身の役者さんでも勉強をして話せるでしょうが、感情の入れ方が少し難しいのではないかと思います。ウチナーヤマトグチと標準語はアクセントに違いがあるので、発言が変わってきますよね。なので沖縄出身者の我々が沖縄の作品を演じる時は、スムーズに進むと感じているんですよ。
―沖縄作品と一般的な作品。取り組む上で違いはありますか?
松田:ウチナーグチをしゃべらせてもらえる事が、とにかくうれしいです。沖縄が舞台の作品でも東京で製作する場合は、なまりが強いと視聴者さんが聞き取れないので、ヤマトグチに少し直してほしいなどリクエストされる事があるんですよ。伝わらないと意味がないですからね。沖縄で撮る沖縄作品で、ウチナーグチを話せる事が一番うれしいですね。
―山内さん、藍染め体験をしていかがでしたか?
山内:本当に大変でした。
松田:土を耕して種を植え葉を育てるところから始まり、摘んだ葉をたくさん集めて寝かせて泥にして。そして薬品を混ぜて、藍染め液にして・・・とたくさんの工程があります。
山内:そこからもまたいろんな工程があって、すごく根気のいる作業でした。僕たちが体験したのはほんの一部分でしたが、それでも大分大変でしたね。愛情込めて作業している事が指導役の方から伝わってきて、藍染めに対しての愛を感じる時間になりました。
松田:手をかけたからこそ出るきれいな青を見ると、またステキだなと思えました。本作を見ると藍染めの青い色の美しさ、そして晴れた空の美しさを感じていただけると思いますが、撮影中に青いトンボが飛んでいて、感動しました。青づくしでしたよ。
監督:全てが自然由来の青色なのがすごいですよね。作られたものではないんですから。
松田:自然であの色が出せるのは、本当に素晴らしいです。
―伊江島が見える風景もすてきでしたし、本部町の新しい魅力にも気づくきっかけになります。
松田:そうですよね、本当にすてきでしたよ。
監督:出てくるカフェは実在の店舗です。
山内:どこに行ってもきれいでした。