有料

伝説の芸人・山城達樹の生涯を追う 映画「ファニーズ」東京で上映「お墓で始まってお墓で終わる」


伝説の芸人・山城達樹の生涯を追う 映画「ファニーズ」東京で上映「お墓で始まってお墓で終わる」 映画「ファニーズ」上映後に舞台あいさつする山城智二(右)と大兼のぞみ=16日、世田谷区の下北沢トリウッド
この記事を書いた人 Avatar photo 斎藤 学

 1990年代に沖縄のお笑い界に颯爽(さっそう)と登場したファニーズ。沖縄大学の学生時代に山城達樹と渡久地政作が組んだ漫才コンビだ。

 96年に26歳で急逝した山城はやがて伝説の芸人に。芸人たちの組織化といった事業家としての異能ぶりを発揮したのも、そう評されるゆえんだ。その山城の生涯を追ったドキュメンタリー映画「ファニーズ」が都内で上映中だ。16日には舞台あいさつがあり、映画に登場する芸人でユタキャラの大兼のぞみらが作品の裏話などを開陳、満席の会場を沸かせた。

 映画は、山城達樹が設立した演劇集団の法人FECオフィスを継いだ弟の智二が監督を務めた。達樹が残した日記やメモを頼りに伝説の兄の生涯に迫る。

 この日、世田谷区の下北沢トリウッドであった舞台あいさつで、智二は制作にあたってのこだわりについて「沖縄らしさ」を挙げた。「この映画はお墓で始まってお墓で終わるというのは決めていた」と話す山城は、その必須シーンとして沖縄のユタの映像枠を設けていたと言う。

 ユタを介して達樹の今の気持ちを家族に伝えるコマは「沖縄あるある」な光景。大兼がこの日に持参したのも「お清めの塩」で、観客に配って沖縄伝来の風習も伝える映画の深みをアピールした。

 映画の真骨頂は達樹の命日に行われた墓前での大喜利。故人をしのんで芸人たちが披露する数々の芸は伝説の男にふさわしい弔い。上映作品では、大兼が熱演したシーンはあいにく全カット。大兼は「お墓の前でレゲエを歌ったのに」とじだんだを踏み、映画を「もう1本つくれ」。智二は「泣く泣くカットした」と話し、未公開映像を今秋制作するDVDに収録してフォローする考えを提示した。

 智二は県内に今や100組以上のお笑い芸人がいると言及。「沖縄のお笑いを知って、応援して」と語り、沖縄のお笑いのすそ野の広がりに期待を込めた。映画は27日まで下北沢トリウッドで上映されている。

 (斎藤学)