<< 1 | 2 | 3 >>
事務所で出会い、日常を脚色しながらネタ作り
松田ナビ:2人は子どものころから、お笑いをする感じの子だった? 高校生くらいになるとクラスの中心人物だろうというイメージです。
具志堅:中学生時代に友達の誘いでやったことはありますが、有名芸人さんのコピーだったりするのが違和感でした。なので中3のころには先生の物まねをしたりイジる程度でしたが、オリジナルを作り人前で披露していました。だけど小学生のころの僕はそんなに良い子ではなく、周りにちょっかいを出すような子でした。
小だいらくん:やばいヤツだな。
具志堅:でも中学生のころ、それは良くないと言ってくれる友達がいて、お笑い好きだったそいつに誘われてネタをやるようになりました。高校生の時は小学と中学の間くらいで、目立つタイプではなかったです。
松田ナビ:FECに入ったのはいつごろ?
具志堅:24歳のころ。お笑いやりたいな~という気持ちはありましたが、高校を卒業してからはトラックの運転手をしていました。5年くらい牛乳を運ぶ仕事をして、その後は季節労働で三重県に行きました。沖縄に帰ってきて、FEC好きのネーネーが「団員募集しているよ」と教えてくれたんです。
松田ナビ:そんな過去があったとは!? お姉さんが勝手に履歴書を送って、というアイドルに近い (笑)。小だいらくんは?
小だいらくん:人前に出たがる子でした。「青春アカペラ甲子園・ハモネプリーグ」というテレビ番組が流行っていたころは、同級生の前で歌ったりもしましたね。でも不協和音で、ショートコントをやってもウケませんでした。ただ、とにかく前には出ていましたね。
松田ナビ:それなら人気者だ!
小だいらくん:今考えると人気者ではなかったです。興南高校に進学しましたが、人前に出るのはスポーツで活躍している生徒。僕は帰宅部で取り柄もなく、ひねくれた目線で周りを見ていました。出てもいないのに、「もし表に出たら俺の方が面白い」みたいに思っていましたよ。その後社会人になってもそのクセが抜けず、会社の同僚に「フレッシュお笑い選手権大会があるから出てみたら」と言われ、地元の友達に声を掛けて出場しました。
松田ナビ:それで優勝したんだから、「やっぱり俺天才やし」と思ったでしょう!?
小だいらくん:最初は負けて、別の相方と2回目出たんですよ。
松田ナビ:メンバーが違うんだ。「水曜日のカンパネラ」方式!
小だいらくん:そうなんです。「エビ」というコンビ名は気に入っていたから続けたくて。最初負けた時に団長の仲座さんが「一緒にお笑いやろう」と声を掛けてくれましたが、沖縄のお笑いのことが全く分からず、「この人、自分の事務所に人を入れるために勧誘している」と素直に受け入れられませんでした。人格が終わっていますよね(笑)。でも見返したい気持ちがあったので、FECに入所しました。
松田ナビ:事務所に入った後に「エビ」を組み直し、そしてフレッシュで優勝したんだ。
小だいらくん:はい、でも事務所に入って「面白い人たちがこんなにいっぱいいる」と知って打ちのめされました。「バケツから出てくるってなんだば~!?」と思っていましたが、間近で見たら面白い!
松田ナビ:でも若い時に「なんだコイツ、何が面白いば~!?」と思った相手への気持ちは、今も変わらないと思えるよ。小だいらくんも今でもそうでしょ(笑)?
小だいらくん:どうなんすかね!? 思っていないつもりですけどね。
具志堅:隠すのは上手くなっている(笑)。しょうさんはどうですか?
松田ナビ:「コイツら、何が面白いば~!?」と思っていた時期はもちろんあったけれど、今は全くない(笑)。
具志堅:お互い上手になっているだけですね(笑)。
松田ナビ:ネタ作りはどんな風にやっていますか?
具志堅:「こういう人を見た」とか、2人でおしゃべりしながらですね。例えば、最近祭りで見かけた創作エイサーの人が面白かったとか話し、そこからネタが生まれていくことなどあります。
松田ナビ:日常がネタになるのはラジオ的。わさびのお笑いは、日常がテーマになっていたりするのかな!?
小だいらくん:飛ばしたネタに挑戦したこともありますが、あまり上手くいかなくて。それよりは身近な人の日常を少し誇張するくらいの方が、僕たちに合っていそうだと思いました。
具志堅:その方がやっていても楽しいです。
松田ナビ:会話の中からネタが生まれることが多いなら、続けることでわさびの独自性になるね。ごはん食べに行くなど、2人で会うことはないよね!?
具志堅:ないです。
小だいらくん:初恋クロマニヨンさんはどうなんですか?
松田ナビ:僕らは3人で食事に行くなどはないけれど、誰かを介せば行ける(笑)。普段は2人でおしゃべりしている?
具志堅:会う時はネタを作ろうというテンションなので、世間話をする雰囲気にはなりません。初恋クロマニヨンさんは、しょうさんがネタを作っていますよね?
松田ナビ:丸々は作っていなくて、3分の1くらい作った状態で2人の前で「こんなのどうですか?」とプレゼンする。反応が良かったら、その場で3分の2くらいにふくらませて持ち帰り。続けて別のネタの3分の1をプレゼンして・・・というのを繰り返す。だから1回のネタ合わせで、未完成の3本くらいをプレゼンする感じかな。2人は良いか悪いかハッキリ言わないので、反応を見ている。笑うかどうかとかね(笑)。だからネタ1本を作るのに3回程度は集まります。
小だいらくん:反応が良くなかった、3分の1しかできていないやつは?
松田ナビ:捨てる。思い付きレベルの内容だから、捨ててもさほどダメージは感じないよ。ストックを数多く持っている方がいいと思っている。「このネタでいこう」と決めた1本は、根を詰めて作り上げている?
具志堅:そうですね。煮詰まってどうしたらいいか分からなくなったりしますけど。
松田ナビ:「俺たちに明日は来ない」という嫌な空気になるよね。なので煮詰まって進められない時はそのネタを置いておくか捨てるかして、別のストックからピックアップしたネタを考えようと気持ちを切り替えます。2人は8月に単独ライブをするにあたっていろいろあったと思うけれど、どうでしたか?
小だいらくん:今まで僕らだけでライブを開催したことがなく、責任を背負った経験がありませんでした。そういうことから逃げ続けてきた9年だったので、1から作り上げる作業をしっかりやらなければいけないと、重い腰をようやく上げました。
具志堅:事務所の定期ライブ「お笑い劇場」のプロデューサーを1回やった以降、外されましたからね。