【記者解説】 首相所信表明、うわべだけの沖縄配慮


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 安倍晋三首相は4日の所信表明演説で、予定されていた本年度末のキャンプ瑞慶覧の一部返還に言及するなど、沖縄の基地負担軽減を進める姿勢を強くアピールした。一方、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設を進めることも改めて明言した。

 1月の施政方針演説では削られた「沖縄の皆さんの心に寄り添う」との文言を復活させ、うわべでは沖縄に配慮を示しながらも、これまで幾度も示されてきた辺野古新基地建設の中止を求める沖縄の民意には寄り添わない姿勢が際立つ演説となった。

 安倍首相はまた、1919年の国際連盟委員会で人種差別撤廃を訴えた牧野伸顕氏の「困難な現状にあることは認識しているが、決して乗り越えられないものではない」との言葉も引用し、「世界のルールづくりを日本が力強くリードしていく」と強調した。

 だが、その事例の中に全国知事会も求めている日米地位協定の改定に関する言及はなかった。首相が意欲を示した外交面では沖縄を巡る諸課題に取り組む考えは示さなかった。 (知念征尚)