名護市辺野古の新基地建設を進める政府は、埋め立て用土砂(岩ずり)の採取場所を決めるための2013年度調査で埋め立て承認申請書に明記した採取場に加え、14年度調査では県内外で新たに採取場41カ所を追加して調べていたことが7日までに分かった。沖縄防衛局は「既往の採取場で閉鎖されている地点もあったため、生産性や運搬性を考慮し新たに調査地点を追加した」と説明した。
当初予定していた採取場とは別の採取場からの土砂搬出も模索しているとみられる。埋め立て承認申請時に予定していなかった採取地区から土砂を搬出するには、知事から改めて承認を得なければならない。実際に採取場を追加するかどうかは流動的だが、申請済みの土砂採取場所だけで必要量を確保できなかった場合に備えているとみられる。
沖縄平和市民連絡会の一員で土木技師の北上田毅氏が情報公開請求で入手した資料で判明した。その資料によると、防衛局は仲井真弘多知事(当時)から埋め立て承認を得た13年度、採取場21カ所を調べて土砂の蓄積合計2830万立方メートルを確認した。埋め立て承認申請書に記載した採取地区と一致している。
一部の採取場が閉鎖したことなどから、14年度調査では従来の採取場だけでは約2千万立方メートルしか確認できず、13年度と比べて800万立方メートル減だった。政府は新たに41カ所を対象に加え、その結果3680万立方メートルの土砂量を確認した。
県内では、本部町、名護市、国頭村の採取場から土砂を搬出予定だったが、14年度は新たに糸満市の採取場2カ所を調査した。鹿児島県では沖縄に近い奄美大島を含め調査範囲を大幅に拡大させた。宮崎県や佐賀県でも初めて調査した。
辺野古新基地建設には2062万立方メートルの土砂が必要で、うち1644ヘクタールを岩ずりでまかなう予定だ。文書を入手した北上田氏は「県外からの土砂は県土砂条例の規制対象となる。もし外来生物が見つかったら土砂は辺野古に搬出できなくなるので、少しでも採取場所を増やそうとする可能性がある」と指摘した。
(明真南斗、吉田早希)