「国と地方自治体は対等であるべきだ」「裁判で争っても何も変わらない」。米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設を巡り、沖縄県が国を相手に提起した「関与取り消し訴訟」。福岡高裁那覇支部は判決で、沖縄防衛局などの国の機関であっても一般私人と認められるとの見解を示した。県内からは現状の司法制度に異議を唱える声や、県側への要望の声が上がった。
裁判を傍聴した与儀喜一郎さん(75)=那覇市=は「判決を聞きがっかりした。国と地方自治体は対等であるべきで、審理もせず国に有利な判断ばかり。これでは国の思うがままだ」と憤った。
「小さな島で反対を訴えても、国は痛くもかゆくもないのだといえる判決。三権分立は成立していない」と司法制度の在り方に疑問を呈した那覇市の安次嶺義冶さん(29)。「国が恐れているのは国民の声だ。現状を内外に訴え、県民の声を大きくする地道な活動を続けることが望ましい」と提案した。
岸本邦弘さん(58)=宮古島市=は、新基地建設が進む現状について触れ「今は沖縄に米軍基地が造られているからこのような扱いを受け、象徴的な形になっているが、同じように地域の声を聞き入れない事態が全国で起こらないとも限らない」と指摘した。
沖縄市の牛島福実さん(43)は「全く聞く耳を持たない政府を相手に、裁判で争ったとしても何も変わらない気がする」とうなだれた。夫の章さん(45)は「(国に対する)意思表示にはなったかもしれないが、裁判で工事は止められないのではないか。小難しい手続きの話よりも政治的な解決の方が有効だと思う」と冷静に語った。
名護市安和の琉球セメント桟橋前で23日、抗議の声を上げた中山吉人さん(62)=名護市=は「基地賛成、反対に関係なく、県民全体をばかにしている。判決で却下されてもひるまない」と力を込めた。
宜野湾市から抗議に参加した伊佐笑子さん(73)は「結果は予想していた。法律がないがしろにされるような国は民主主義国家ではない。次はどんな方法で対抗するか考えないといけない」と話した。