海底藻場、サンゴを損傷 辺野古新基地建設 台風でアンカー移動


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
沖縄防衛局が環境監視等委員会で示した資料

 米軍普天間飛行場の移設先とされる名護市辺野古の沿岸部で、沖縄防衛局が設置した浮具(フロート)が9月に沖縄地方へ接近した台風17号の影響により波に流され、固定のための鋼製いかり(アンカー)が海底を傷つけていたことが12日、明らかになった。沖縄防衛局によると、最大165メートルのアンカー痕が16カ所見つかり、一部は海草藻場を損傷させた。辺野古崎周辺の5カ所でサンゴが損傷した。

 県は海草藻場が広がる辺野古側へのフロート設置を環境保護の観点から問題視してきた。埋め立て承認申請時に防衛局が提出した環境保全図書の約束と矛盾するとして、承認撤回の根拠の一つに挙げている。

 アンカーが海底を傷つけていたことについて、沖縄防衛局が12日の「普天間飛行場代替施設建設事業に係る環境監視等委員会」第22回会合で説明した。アンカー痕16本のうち幅が広いもので約1メートル、最深で約10センチ削られているという。台風接近に伴って対策を講じたが、急激な台風の発達で辺野古側のフロート撤去が間に合わなかった。フロートを辺野古沿岸部に設置すること自体は「問題ない」と説明した。

 防衛局は今後、台風接近が多い6~10月、作業員や作業船を増やすことで台風対策にかかる時間を短縮すると説明した。削った箇所の海草藻場を再生させる手だては検討していない。

アンカー移動で削られた海草藻場(沖縄防衛局資料より)
アンカーの移動で損傷したサンゴ(沖縄防衛局が環境監視等委員会で示した資料より)