【名護】沖縄県名護市辺野古の新基地建設で、市安和の琉球セメント桟橋から埋め立て用土砂の海上搬出が始まり3日で1年。本部半島の鉱山などから採取した土砂が船に積み替えられ、辺野古の海に連日送られている。安和区民らは地域が基地建設に利用されていることへの怒りや目的外使用への批判を訴える一方、交通渋滞への反発など、複雑な心境で見つめる。
安和桟橋や本部港塩川地区で作業の監視を続ける本部町島ぐるみ会議によると、昨年12月から今年10月までに安和桟橋から運搬船415隻、塩川地区から47隻分の土砂が搬出された。阿波根美奈子事務局長は「行政に(基地建設阻止の)有効な手段を講じてほしい」と話す。
桟橋前の交差点では土砂を積んだ大型車が40台以上並ぶ日もある。10月、県警は「交通量と事故の増加」を理由に、桟橋付近の国道449号に転回禁止標識を7カ所設置した。県警は抗議行動とは「無関係」としている。
安和に暮らす70代男性は「(抗議で)渋滞が起こり大変だ」と憤る。区内では抗議活動参加者の駐車が迷惑だという声もあるという。安和区の幸地隆作区長は「(桟橋使用に)反対するにしても、区に迷惑のない方法でやってほしい」と語る。
一方、区民の長山豊樹さん(35)=団体職員=は「辺野古の基地建設に、安和が関わることになるとは夢にも思わなかった」とし、新基地建設に反対する立場から「区にある桟橋が目的外使用され、赤土が流出している。住民の生活を守ってほしい」と述べた。