嘉陽伸さん、現代俳句で朝日賞 辺野古の句で平和求める心詠む


この記事を書いた人 アバター画像 琉球新報社
辺野古の埋め立て工事を詠み、現代俳句全国大会で朝日新聞社賞を受賞した嘉陽伸さん

 県現代俳句協会長の嘉陽伸さん(82)=那覇市首里山川町=が詠んだ名護市辺野古の句「海もまた 生き埋になる 辺野古の夏」がこのほど、第56回現代俳句全国大会で朝日新聞社賞を受賞した。強行される名護市辺野古の米軍新基地建設に反対する思いを込めたという嘉陽さんは「沖縄戦の生き残りとして、これからも平和を求める俳句を作り続けたい」と語る。

 太平洋戦争や沖縄戦で親を亡くし、戦後は孤児院を転々として過ごした嘉陽さんにとって「戦争は私の原点」。これらの経験から、嘉陽さんは現代俳句の題材に平和への願いを込める。

 今回の作品は今年7月ごろ辺野古周辺に取材に行き、埋め立て工事が進む様子を見た。多様な生物を育む辺野古の海も「生きている」ということを強調するために「生き埋」と表現した。嘉陽さんは「死んでいくのはジュゴンだけじゃない。海そのものが殺されているのだ」と憤る。

 今年2月の県民投票で、投票した県民は「辺野古ノー」の民意を明確に示した。県も埋め立てを巡り国を相手に法廷でも闘い続ける。嘉陽さんは「私たち沖縄戦の生き残りは、新基地建設に抵抗しなければならない。建設を推進する国と戦うのは困難も多いが、反対の声を上げ続けたい」と力を込めた。