米連邦議会の上下両院が国防権限法案の合意に達し、名護市辺野古の新基地建設に関わる条項が盛り込まれた。国防総省は、建設の進捗(しんちょく)状況を連邦議会へ報告することになった。この条項を沖縄がどう読み、どう使うかが問われている。
この条項の補足説明では「同条項は現行案の変更や変更を支持するものと解釈してはならない」「変更は、影響のある国々、特に日本政府との協議や合意を経て考慮されるべきだ」としている。しかし、これまで「辺野古が唯一」という立場を取ってきた米議会が「変更」という文言を条項に入れた事実は重要だ。私たちは「変更」は可能である、と読むべきだ。
この条項は、多くの人々が基地建設に粘り強く反対してきた成果だ。市民が自ら情報収集や調査で軟弱地盤や環境の問題を具体的に明らかにし、米国市民や国会議員と連帯して、米政府に伝えてきた積み重ねがこの条項につながっている。
市民は6月の上院の法案にはあった辺野古関連の条項が、9月の段階で下院により削除された後も、諦めずに、この条項の維持を議会に求め続けた。米国ではワシントンでロビー活動を展開し、沖縄からも連邦議員にファクスを送り続けた。そして玉城デニー知事や県議会議員が訪米し、基地建設の問題を米政府・議会に伝えた。
米大統領の法案承認後180日以内に国防総省は建設の進捗状況を議会に報告する。「辺野古は無理だ」という報告を国防総省にさせるよう、国際社会と協力し最大限、取り組むべきだ。