キノコでダイオキシン分解 沖縄の企業が特許取得 汚染土壌の浄化に期待


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特許取得を報告する(左から)沖縄工業高等専門学校の田邊俊明准教授、県環境科学センターの古家克彦環境科学部長、大鏡建設の山入端豊専務、照屋土建の照屋正悟常務=18日、県庁

 大鏡建設、照屋土建、県環境科学センターで設立した株式会社「大地クリア」は、土壌中のダイオキシンをキノコで分解する技術を確立した。沖縄工業高等専門学校の技術協力を受けており、5月10日に特許を取得した。ダイオキシンに汚染された土壌は県外に運搬して焼却炉で処分していたが、培養したキノコを使う分解剤を土壌に混ぜることで、県内での浄化が可能になる。

 浄化に使うキノコはダイオキシン類を分解する性質がある「シロホウライタケ」の仲間。大地クリアは分解能力が高い株を大量培養する技術を確立しており、おがくずに混ぜることでダイオキシンの分解剤として活用できるようにした。分解剤をダイオキシンに汚染された土壌と混合すると、約8週間で浄化される。キノコは全て県内で採取しており、ほかの生物に悪影響を与えることもないという。

 技術の実用化に向けて、汚染物質の分解速度の加速や低コスト化など、さらなる改良を進める。実用化されれば、環境負荷が少ない手法で汚染土壌の浄化が可能になり、持続可能な社会づくりへの貢献も期待される。大地クリア代表で大鏡建設専務の山入端豊氏は「米軍基地の返還跡地などでの土壌浄化を視野に入れている。県内の汚染土壌を浄化し、環境問題解決の一助となればいい」と話した。

 大地クリアを組織する3者は、沖縄高専で微生物や培養技術を専門とする田邊俊明准教授を迎え、2011年から3年間にわたって汚染土壌の浄化処理技術開発に取り組んだ。