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金メダルに最も近い男 喜友名諒 「稽古は365日やる」絶対王者の努力 【東京五輪・憧憬の舞台へ】

喜友名諒=12月2日、那覇市安里の佐久本空手アカデミー(喜瀨守昭撮影)

 今や世界で向かうところ敵なしだ。空手形の喜友名諒は、2020年東京五輪の日本勢で金メダルに最も近いと目されている。

 国内外での快進撃による世界王者の顔だけが脚光を浴びがちだが、実は努力の人である。高校時代、全国優勝の経験はなし。晩成を地で行き、修練の積み重ねによって才能も素質もより進化し得ることを証明し続けてきた。

 「稽古は365日やること」。まだ世界に名が出る前のこと。中学3年生で門をたたいた劉衛流の佐久本嗣男会長と交わした約束だ。以来、完全休養は一日もない。

 克己の心で日々の鍛錬に向き合い続け、日本選手権で8連覇、世界選手権は3連覇と頂点に立ち続けている。だが「脱力、力の抜き差しはまだまだ」と探求心は尽きない。重量挙げのトレーニングを取り入れ、琉舞からは目線のやり方、手つきを参考に模索する貪欲(どんよく)な修行者。奥深き形のさらに深奥へと分け入っていくことを、やめたりはしない。


稽古で指導する劉衛流龍鳳会の佐久本嗣男会長(左)と練習に励む喜友名諒=12月2日、那覇市安里の佐久本空手アカデミー(喜瀨守昭撮影)

 佐久本会長が喜友名の強みについて「決して手を抜かないこと」と挙げるように、稽古で形を打ち出すと道場は一瞬で独特の緊張感に包まれる。劉衛流の特徴である一足二拳の間合いや攻防一体の神髄を体現する29歳は絶対王者の風格を漂わせる。

 五輪まで7カ月。これからの日々も形の本質にいかに迫ることができるか、うちなる自分と切り結ぶ厳しい毎日を過ごすだけだと見定めているようだ。「(佐久本)先生のように高みを目指しずっと稽古を続けたい」。
 慢心も油断もない。五輪の表彰台はただひたすらの稽古の先に。まなじり決して見詰めるのは、さらにその先にある至高の形だ。

 文・古川峻
 写真・喜瀬守昭


きゆな・りょう 1990年7月12日生まれ。沖縄市出身。5歳で空手を始め、全日本選手権は12年から8連覇、世界選手権は14、16、18年と3連覇中。18年2月を最後に国際大会で負けがなく、19年はアジア選手権4連覇を果たした。沖縄・興南高、沖縄国際大出。劉衛流龍鳳会。170㌢、78㌔。29歳。




 




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