<金口木舌>最期をどこで迎えたいか


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 広げたバスタオルでボールを投げ合う福岡県の「バスタボー」や、手足を使うバレーボールのような大分県の「夢ボール」。18日付九州・沖縄地方紙交換企画では、各県で盛んな生涯スポーツが紹介されている

▼高齢になっても体を動かすことで日々の生活が充実し、健康長寿につながる。住み慣れた地域で、なじみの顔と共に楽しめればなお良い
▼生まれ育った島で最期を過ごすには何が必要か。南大東村で昨年末、「みとり」を考えるシンポジウムが開かれた。島で最期を迎えた人や子どもが住む沖縄本島を希望した人など、さまざまな事例が報告された
▼南大東村社会福祉協議会が40代以上に実施したアンケートでは、最期を迎えたい場所として半数以上が「住み慣れた島」を希望した。医療や福祉、人材が限られた島で本人の希望に寄り添った最期を迎えるには、家族だけでなく地域住民の理解と協力が必須という
▼2019年版の高齢社会白書によると、60歳以上の約51%が「自宅で最期を迎えたい」と回答した。だが18年の厚生労働省調査では、自宅で亡くなった人は全世代でも15%足らずだ
▼高齢化や少子化に伴い単独や夫婦のみの世帯が増える中、生涯スポーツや趣味は仲間づくりや地域の絆を深めるきっかけになる。誰もが住み慣れた地域で生き生きと過ごし、希望する場所で人生の幕を閉じられる社会でありたい。