コンピューターサービスのオーシーシー(OCC、浦添市)と琉球大工学部、糸満市が連携し、IoT(モノのインターネット)技術で海ぶどうの陸上養殖を自動化する実証実験に取り組んでいる。人工海水に高濃度の二酸化炭素(CO2)を溶け込ませることで、養殖海ぶどうの成長を従来の約1・5倍に早めることに成功。IoT技術で海水のCO2濃度や水温、水質、光の照射などを自動で管理する仕組みを取り入れ、生産性向上を目指す。
琉大工学部は海水に高濃度のCO2を溶け込ませることで、海藻の光合成を促進し、成長を早める研究に取り組んできた。2017年度からOCCと連携し、県産品としての知名度や単価が高く、陸上で養殖が可能な海ぶどうに絞って研究を進めた。
当初は高濃度のCO2を溶け込ませた海水を手作業で養殖の水槽に入れていたが、海水を循環させながらIoT機器でCO2濃度を自動検出し、濃度が下がると自動で補給する仕組みを考案した。
現在は複数のIoT機器やセンサーを活用し、海水のCO2濃度をはじめ水温や光合成を促すための光の照射、液体肥料の補給などを自動で管理する仕組みを実証実験している。海水や機器の異常を検出すると、自動で知らせる機能なども取り入れている。
20年度まで実証実験を重ね、早ければ21年度にも一連の装置を「海藻自動養殖ユニット」として売り出す方針。コンテナの中に装置を設置し、屋外だけでなく商店街の空き店舗や学校の空き校舎などで海ぶどうを自動生産できる形を目指している。
漁業が盛んな糸満市には海ぶどう養殖業者が市内に5社存在しており、市としても事業の実用化を支援する。海外展開支援に関する県の補助事業を活用してフランスで海ぶどうの需要調査も実施しており、一定の需要が見込めるという。OCCの屋比久友秀取締役は「沖縄で海ぶどうの高効率生産の仕組みを確立し、県内事業者への提供を進めたい。将来的にはヨーロッパや北米、南米など世界に海ぶどう養殖の仕組みを広められるといい」と語った。
(外間愛也)