日米の環境保護団体が米国防総省に名護市辺野古の新基地建設中止を求めたジュゴン訴訟の控訴審が現地時間3日(日本時間4日未明)に米連邦控訴裁判所で結審する。判決日は未定。2018年8月の米サンフランシスコ連邦地裁での差し戻し審では原告の訴えを棄却し、原告が控訴していた。地裁判決は新基地建設による環境影響の判断について、行政側に広範な裁量を認めた。控訴審では米国防総省の判断が妥当だったかが争点となる。
米ジュゴン訴訟は原告が03年に提訴した。サンフランシスコ連邦地裁は08年の「中間決定」で日本の天然記念物であるジュゴンは米文化財保護法(NHPA)の適用対象となり、国防総省のジュゴンの保護に対する「考慮」が欠け、NHPAに違反するとした。だが同地裁は審理再開後の15年2月に「政治問題の法理」から裁判所の関与はなじまないとして原告の訴えを却下した。17年8月の控訴審判決は原告の主張を一部認め、地裁に差し戻したが、18年8月に地裁は原告の訴えを棄却した。
今回の控訴審は工事によるジュゴンへの「影響はない」と判断した国防総省の「考慮の手続き」が適切で、判断は妥当だったかが争点となる。ただ同裁判では14年4月までの手続きを議論の対象としており、辺野古新基地建設工事が実際に始まって以降、ジュゴンが周辺海域から姿を消したことなどが判断材料となるかは不透明となっている。