乳がん乗り越え、NYで活躍する彼女が後輩に伝えたいこととは…


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米ニューヨークの病院で勤務し、1月の優秀スタッフにも選ばれた新川みさきさん

 米ニューヨークの大病院で薬剤師として活躍する県出身女性がいる。名護市屋我地出身の新川みさきさん(42)は2016年から、ベッド数約650床、スタッフ3千人余りが働くニューヨーク・プリスバイテリアン・ブルックリン・メソジスト病院で勤務している。17年末に乳がんが分かり、抗がん剤や放射線治療、手術を受けながら仕事を続け、今年は「1月の優秀スタッフ」にも選ばれた。新川さんは「大きな病気をすることで、より一層患者の立場に立って考えることができるようになり、これからも自分の経験をプラスにしていける」と前を見詰める。

 幼い頃から「将来好きな所に住んで、好きなことができる人生を送ってほしい」と話す両親の下、屋我地小、屋我地中、北山高理数科に進み、米ユタ州に交換留学した。多様な人種や文化があふれ、「世界」を感じられるニューヨークで大学に入った。

 大学では友人たちとの出会いや有機化学の講義を通して医療に興味が湧き、「信頼される薬剤師になりたい」と08年に薬学部を卒業後、全米大手チェーンの薬局で勤務した。さらに臨床薬理学やがん治療などにもチャレンジしたいと、現在の病院に移った。

 仕事のモットーは「全ての行動に責任を持ち、言い訳をしない」。時間を無駄にせず、数多くの患者のケアをするため「常にプライオリティー(優先順位)を把握して動くことを心掛けている」。医師や看護師との連絡を密に患者の状況を把握する。そんな中、約150人の薬剤師部署の中から推薦され、1月の優秀スタッフに選ばれた。「いい同僚に恵まれ、チームワークあってこその表彰」と語る。

 今後の目標は、自身の闘病の支えにもなったメディテーションを学ぶこと。趣味の音楽も「ジャズピアノに挑戦したり、三線で沖縄の曲を広げたりしたい」と語る新川さん。妹、弟もハワイやニューヨーク、イタリアで学び、世界で活躍する。「小さな島の後輩たちに少しでも励みになってくれれば」と古里への思いを語った。
 (座波幸代)