マカオで日本語教師をしながら、政治や基地問題についてインターネットで発信する沖縄県出身の若者がいる。沖縄国際大学4年生の玉城未憂(たましろみゆう)さん(24)=豊見城市出身=だ。24日で辺野古埋め立ての賛否を問う県民投票から1年。新基地建設について県内の若者の関心はまだまだ低いと感じるが、「声にしていかないと変わらない」との思いを胸に、“若者の力”を信じて発信を続ける。
昨年2月から短文投稿サイト・ツイッターや動画投稿サイト「ユーチューブ」で情報発信を続ける。オーストラリア留学を終え「自分は沖縄のことを知らない」と実感し、沖縄を発信しようと取り組んできた。当初は観光地の紹介などをしていたが、「明るい部分だけでは駄目だ」と基地問題などに関する投稿もするように。「辺野古で座り込みをするおじいやおばあは、若い人のために、この島のために、余生を闘ってくれている」。ツイッターにはそうつづった。
本島南部で生まれ育った玉城さんにとって、米軍基地は身近な存在ではなかった。大学の講義でベトナム戦争下、沖縄が「基地の島」と呼ばれたことを知った。「沖縄戦を経て、平和を願い続けている島なのに」とショックだった。県民投票では「反対」に投票した。「沖縄に基地はいらない」という一心だった。
周囲の学生には政治などに「腫れ物に触る」ように距離を置く人も多い。だが対話や発信を通して「『基地問題』ではなく『戦争は嫌』という点であれば話ができる」と感じている。県民投票から1年たち、同世代の意識が劇的に変わったとは思えずにいる。それでも「子どもができた同級生などは政治に関心を持ち始めている」と実感する。
1月からマカオ大学で、日本語教師のインターンシップに参加。隣接する香港では民主化デモで若者の力が注目された。マカオの学生たちも会員制交流サイト(SNS)などで政治について積極的に発言している様子を目の当たりにする。「沖縄の若者も負けていられない」との思いは強まる。
これからもネット上での発信は続けていくつもりだ。「自分のように普通の人が、普通に声にしていくことが大事ではないか」と感じている。
(塚崎昇平)