中城の戦争、浮き彫りに 村教委、案内書と地図作成 体験者250人聞き取りも


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中城村の戦争遺跡ガイドブックと戦跡マップを作成した喜納大作さん(左)と稲嶺航さん。後方は銃弾痕が残る民家のヒンプン=13日、同村の護佐丸歴史資料図書館

 【中城】中城村の沖縄戦について理解を深めるため、同村教育委員会は3月、村内や村周辺の戦争遺跡をまとめたガイドブックとマップを作成した。住民の聞き取り証言や文献を参考に、戦跡や形が残っていない旧跡、慰霊碑77地点を地図上に落とし込んだ村作成の資料は初めて。当時の生活が分かる証言なども盛り込み、村内であった戦争を浮き彫りにした。

 同村教委の生涯学習課文化係が2016年度以降、村内外の高齢者ら約250人から聞き取った。聞き取った内容は証言集として21年度に完成予定。聞き取り後、亡くなった人もいるという。

 ガイドブックとマップは、日本軍陣地が構築された戦中から収容所が設けられた終戦直後までを取り上げた。米軍が本島上陸後に建設した村当間の「第13小飛行場」や、村津覇で「ジュリヌヤー」と呼ばれた慰安所、現在の区画整理で消えた村南上原の日本軍陣地群など、形が残っていない戦跡も細かく記録した。

 村北上原にある日本軍の「161・8高地陣地」(村文化財指定)周辺で、京都出身の中尉から勉強を教わったり、蓄音機で音楽を聴かせてもらったりした住民の証言も紹介。作成した文化係の稲嶺航さん(32)と喜納大作さん(36)は証言と戦跡の照合作業に苦労したと明かしつつ「身近な足元に戦跡が多く残っていることを多くの人に知ってほしい」と願った。

 ガイドブックのQRコードで戦跡の位置情報を読み取ることもできる。村内全世帯や周辺の小中高に配布し、護佐丸歴史資料図書館で希望者に無償配布もする。