【深掘り】判決が辺野古新基地建設に与える影響は 国は変更申請へ 県は不許可貫く方針


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県敗訴の最高裁判決を受けた会見で、記者の質問に厳しい表情で答える玉城デニー知事=26日、那覇市の沖縄県庁

 名護市辺野古の新基地建設に伴う埋め立て承認撤回を巡る裁判で、最高裁が県の上告を棄却した。政府は判決を“追い風”に、軟弱地盤の改良工事に入るための設計変更を4月以降県に申請する。これに対し、県側は埋め立て承認撤回の違法性を争う、もう一方の裁判が“本丸”との見方が大方で、今後も政府側が求めるサンゴの移植許可や設計変更申請などに応じない姿勢を貫く方針だ。

 河野太郎防衛相は26日、判決を受けて記者団に辺野古移設が「唯一の選択肢」だと改めて強調した。防衛省にとって今回の判決は変更申請へ向け弾みとなる内容だが、河野氏は「変更申請に何か影響があるとは思っていない」と説明。菅義偉官房長官は同日の記者会見で、変更申請について「現時点で確たることを申し上げるのは控える」と述べるにとどめた。

 一方、県の玉城デニー知事は判決を受けた記者会見で「民主主義の土台となる地方自治の理念に反する」などと疑念を募らせ、設計変更申請に対しても厳しく臨む考えをにじませた。

 この会見に先立ち、玉城知事は自身が設置した「万国津梁(しんりょう)会議」からの提言を受けており、改めて菅氏ら政府関係者に面談を申し入れ、辺野古新基地建設によらない解決策を訴える意向を示した。同会議の委員の1人は「法廷闘争も大事だが、それだけでは限界がある。対話に向けた政策論争をしていく方向性が示せた」と期待を込める。

 最高裁判決が確定し、今後はまず、埋め立て予定地のサンゴ移植許可を巡る県の対応が焦点となる。農林水産省が県に許可を出すよう是正指示を出しており、県は対抗措置として今月30日までに、総務省の第三者機関「国地方係争処理委員会」に審査を申し出る。

 県は係争中を理由にサンゴ移植許可に関する判断を保留してきた。だが、軟弱地盤の改良工事の内容が明らかになっておらず、環境への悪影響を判断できないという理由はまだ残っているとして、引き続き許可しない構えだ。
 (當山幸都、明真南斗)