辺野古関与取り消し訴訟の敗訴に県民は? 「判決おかしい」「移設進めて」


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名護市辺野古の新基地建設の現場。仕切りの護岸を境に、写真手前は埋め立て区域2―1、奥は区域2=25日午前(沖縄ドローンプロジェクト提供)

 辺野古新基地建設を巡って県が国を相手に提起した「関与取り消し訴訟」の最高裁判決で県敗訴が確定した26日、県民の間では賛否の声が交錯した。「移設を前に進めるべきだ」「判決はおかしい」。判決への評価が分かれる一方、法廷を舞台に国と県の対立が続くことに「いつまで続くのか」との困惑もみられた。

 米軍普天間飛行場の移設に伴う新基地建設が進む名護市辺野古で飲食店を経営する玉利朝輝さん(61)は、移設について「辺野古区民は条件付き容認の人が多い」と強調する。今回の判決を受けて「司法判断が示された以上、普天間飛行場の危険除去のために辺野古移設を前に進めるべきだ」と訴えた。

 県の敗訴確定を受け、豊見城市の狩俣稔さん(73)は「絶対におかしい。国は法律を曲げ、役人同士で互いの立場を守り合っている」と怒りをあらわにし、「国に負けず県民は頑張らないといけない」と力を込めた。

 普天間飛行場に近い宜野湾市普天間のスーパーマーケットで夕食の買い物をしていた主婦・仲宗根いずみさん(32)は「辺野古移設には反対だが、国と県の裁判が続く限り、普天間飛行場はなくならない」と複雑な心境を吐露。「子どもたちの将来を考えたら、県には司法判断を受け入れてもらいたい」と述べた。

「民主主義でない」 シュワブゲート前

 【辺野古問題取材班】名護市辺野古の埋め立てを巡る「関与取り消し訴訟」で最高裁が県の上告を棄却したことを受け、同市の米軍キャンプ・シュワブゲート前で新基地建設に抗議した市民からは「悔しい」「小さい声を拾い上げるのが民主主義ではないのか」など落胆や批判の声が漏れた。

 「ヘリ基地いらない二見以北十区の会」の浦島悦子さん(72)は「日本の司法は役割を果たしていない。大きな権力に従えというのは民主主義ではない」と指摘した。

 名護市からゲート前の抗議行動に参加した70代男性は「悔しい。これからは知事だけでなく県民が行動していかなければならない」と話した。

 沖縄防衛局はこの日も、埋め立て区域への土砂投入を続けた。シュワブのゲート前では、工事関係車両195台が3回にわたって資材を搬入した。午後3時にはゲート前に市民約45人が座り込み、「市民弾圧をやめろ」と声を上げた。