<金口木舌>顔を見たらほっとした


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 離島や遠方から治療・入院する病児とその家族が宿泊・滞在する施設「がじゅまるの家」を取材で訪ねたことがある。NPO法人が運営し、南風原町の県立南部医療センター・こども医療センターの近くにある。2008年に開所した

▼利用する母親に話を聞いた。離島在住で以前、子どもが本島の病院に入院した際、宿泊費がかさみ滞在期間が短かった。がじゅまるの家が開所して見舞いの回数が増え、子どもの気持ちが安定したという。家族の支えが回復を後押しすると実感した
▼新型コロナウイルスの感染予防のため、医療機関で面会を禁止する動きが出ている。感染を防ぐためにはやむを得ないが、患者の気持ちを想像すると残念なことだ
▼朗報があった。本部町のもとぶ野毛病院が3月末から1階受付と病棟にタブレット端末を配置して入院患者への面会に活用している。家族らは受付からネットのビデオ電話「スカイプ」を介して患者の顔を見ながら会話している
▼病院の藤本孝子事務長は「家族の顔を見て涙を流す人、会話は不自由でもうなずいて気持ちを伝える人がいる」と患者の様子を話す。家族からは「顔を見ることができてほっとした」という声があった
▼事態が長期化すればするほど「孤立」を防ぐ手だてが必要になる。ネットを活用したコミュニケーションの代替策が、孤立を食い止める一助になる。