「県民の憤りや不信感は増幅」 県議会基地特委、泡消火剤流出で抗議声明


社会
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抗議声明を全会一致で決める県議会米軍基地関係特別委員会=16日、県議会

 県議会米軍基地関係特別委員会の仲宗根悟委員長は16日、県議会で米軍普天間飛行場から有害物質PFOSを含む泡消火剤が流出・飛散した事故について抗議する声明を発表した。声明発表は同日、委員会が全会一致で決めた。「誠に遺憾で断じて容認できない」と述べ、原因究明や再発防止を求めている。

 委員会で全会派の意思を統一した後、本会議で可決するのが通例が、今回は新型コロナウイルス感染防止のため緊急で委員会決定のみで委員長声明という形を取ることにした。発表に新里米吉議長も同席し「全会派が賛成しているので本会議を開いても全会一致になる。事実上、議会全体の決定だ」と説明した。

 仲宗根委員長は昨年12月にも普天間飛行場からPFOSを含む泡消火剤が漏れ出る同様の事故が発生していたことに触れ「再び発生した流出事故に県民の憤りや不信感は増幅するばかりだ」と指摘。「米軍が流出現場に訪れたのが流出翌日だったことから、事故への認識の低さや対応の遅さにも不満が高まっている」と訴えた。

 声明は①原因究明と公表、米軍と日本政府の責任を明確にし再発防止策を講じること②汚染範囲の特定と除去作業、地域住民や対応した宜野湾市消防職員らの健康調査③立ち入り調査の迅速な実施に向け日米地位協定を改定し国内法を適用させること④普天間飛行場の運用停止、閉鎖・撤去―を求めている。

 沖縄防衛局や外務省沖縄事務所、米海兵隊、在沖米総領事のトップ宛。委員会は来週にも各機関を訪れ直接提出する。

 【声明全文は次の通り】
 普天間飛行場からの泡消火剤流出・飛散事故に関する声明

 去る4月10日午後4時45分ごろ、普天間飛行場の格納庫で消火システムが作動し、有機フッ素化合物のPFOSを含む泡消火剤が放出・飛散し、また、基地から延びる側溝を通じ宇地泊川に大量に流出した。

 流出した泡消火剤は風にあおられ、住宅地や隣接する保育園にも飛散し、付近の園児約130人が保育室に緊急避難をするなど、県民に大きな不安と混乱を生じさせた。

 泡消火剤に含まれるPFOSは、発がん性などの健康リスクが指摘され、国内では使用·製造が禁止されるなど、世界的にも使用制限や廃絶の動きにある。米軍においては、2016年以降はPFOSを含まない製品に転換を進め、PFOSを使用していないと説明していたにもかかわらず、昨年12月にも普天間飛行場では、PFOSを含む泡消火剤の漏出を起こしており、再び発生した流出事故に対し県民の憤りや不信感は増幅するばかりである。

 さらに、米軍が流出現場に訪れたのが流出の翌日だったことから、事故に対する認識の低さや対応の遅さにも不満が高まっている。

 これまで米軍基地に起因する事件・事故が発生するたびに、米軍及び関係機関に対し原因究明や再発防止及び管理体制の徹底を強く要請してきたにもかかわらず、このような事故が発生したことは誠に遺憾であり、断じて容認できるものではない。

 よって、県民の生命・財産を守る立場から、今回の泡消火剤流出・飛散事故に対し厳重に抗議するとともに、下記の事項が速やかに実現されるよう強く求める。
1 流出・飛散の原因を徹底的に究明し、その結果を速やかに県民に明らかにするとともに、米軍と日本政府の責任を明確にし、再発防止策を講じること。
2 泡消火剤が流出・飛散した河川や土壌、家屋等の汚染範囲を特定し、除去作業を速やかに行うとともに、地域住民や除去作業を行った宜野湾市消防士等の健康調査を実施すること。
3 米軍基地内への立入調査を迅速に実施できるよう、日米地位協定を改定し、国内法を適用させること。
4 普天間飛行場の運用を停止し、閉鎖・撤去すること。
令和2年4月16日

沖縄県議会米軍基地関係特別委員会
委員長 仲宗根悟