沖縄部門大賞に打越さん「ヤンキーと地元」 第6回沖縄書店大賞


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第6回沖縄書店大賞の各部門大賞と特別賞受賞作

 沖縄県内の書店員が今一番読んでほしい1冊を選ぶ「第6回沖縄書店大賞」が17日発表された。沖縄部門の大賞は社会学者の打越正行さんの「ヤンキーと地元」(筑摩書房)が選ばれた。小説部門大賞は沖縄県出身の作家、知念実希人さんの「ムゲンのi」(双葉社)、絵本部門大賞は神奈川県出身の作家、ヨシタケシンスケさんの「ころべばいいのに」(ブロンズ新社)がそれぞれ輝いた。

 特別賞に2019年10月31日に発生した首里城炎上を題材にした琉球新報社の「甦れ!首里城 報道写真と記事でたどる歴史」と沖縄タイムス社の「報道写真集 首里城」が選ばれた。

 例年行われている発表会と授賞式は新型コロナウイルスの感染拡大防止のため行われなかった。

 沖縄部門大賞を受賞した「ヤンキーと地元」は国道58号を暴走していた若者たちの10年間の記録。打越さんは「自身にとって都合のいい沖縄を描くのではなく、彼らの生活や人生から見たくない不都合な沖縄を描いた。そのような沖縄の現実を本土の人々に伝えるのが次の課題だ」などとコメントした。

 小説部門大賞の知念さんは「私は現役の医師でもある。微力ながら未曾有(みぞう)の事態に立ち向かおうと、今も定期的に医療現場で診療に当たっている。一日も早く感染が終息し、なんの心配もなく沖縄に旅行できる日が来ることを心より祈っている」などと感想を寄せた。

 絵本部門のヨシタケさんは「こんな時期だからこそ、本にできること、本にしかできないことをしっかり考えやっていきたい」とコメントした。

 2019年に刊行された本を対象に県内書店の97人が投票した。準大賞は沖縄部門で岡本尚文さん監修・写真、普久原朝充さん建築監修の「沖縄島建築」(トゥーヴァージンズ)、小説部門で小野不由美さんの「白銀の墟 玄の月」(新潮社)、絵本部門で竹下文子さん、町田尚子さんの「なまえのないねこ」(小峰書店)が受賞した。【琉球新報電子版】