フリージャーナリスト大矢さんに奨励賞 「沖縄『戦争マラリア』」 山本美香記念財団 


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大矢英代さん

 「第7回山本美香記念国際ジャーナリスト賞」の奨励賞に、八重山諸島の戦争マラリアをテーマにした著書「沖縄『戦争マラリア』―強制疎開死3600人の真相に迫る」を書いたフリージャーナリストでドキュメンタリー映画監督の大矢英代さん(33)が選ばれた。

 一般財団法人「山本美香記念財団」が20日、発表した。正賞は「歌は分断を越えて 在日コリアン2世のソプラノ歌手・金桂仙」を執筆したジャーナリスト・坪井兵輔さん(48)。

大矢英代さんの著書「沖縄『戦争マラリア』強制疎開死3600人の真相に迫る」

 同賞は、2012年8月に内戦中のシリアで取材中に銃撃され、死亡した山本美香さん=当時(45)=のジャーナリスト精神を引き継ぎ、果敢で誠実な国際報道に取り組んだ個人に贈呈している。「沖縄『戦争マラリア』」は選考委員から「丹念な取材で戦時下の歴史を掘り起こした。近年の八重山の自衛隊配備が再び島民に戦争の犠牲を強いかねない状況にも警鐘を鳴らした」などと評価された。

 受賞について大矢さんは「『戦争マラリア』の歴史に『国際報道』の評価をいただいたことは、国家の構造的暴力という普遍性を認めていただいたからだと受け止めている。大変重要なことでうれしく思う」と語った。