【東京】名護市辺野古の新基地建設を巡り、農林水産省がサンゴ類の移植を沖縄防衛局に許可するよう県に指示したことの適法性を審査している国地方係争処理委員会(係争委)は19日、農水省の指示を取り消すよう求めた県の申し出を全員一致で退けた。富越和厚委員長は「(農水省の)是正の指示は違法でないと認める」と述べた。県は係争委の判断を不服として訴訟を起こす見通し。その場合、係争委の通知を受けてから30日以内に福岡高裁那覇支部に提訴する。
玉城デニー知事は同日、農水省の是正指示は「地方の自主性、自立性を尊重するため、国の関与は必要最小限でなければならないとする地方自治法の趣旨に鑑み許されない」と批判。係争委の判断は「このような国の関与を容認するものであり、誠に残念だ」と述べた。
富越氏は会見で、現行の埋め立て承認は有効であり、その承認に基づき護岸の造成工事もできるとの見解を示した。このため指示が出た時点で「サンゴ移植の必要性、妥当性の要件を満たす」と判断した。許可しなかった県の事務処理は漁業法、水産資源保護法で付与された裁量権の範囲の逸脱、または乱用に当たり違法だと指摘した。
サンゴ移植を巡っては、沖縄防衛局が昨年4月と7月、知事にサンゴの特別採捕許可を申請した。農水省は標準処理期間の45日を過ぎても判断が出ないことを問題視し、許可するよう2月28日に県へ指示した。
これに対し県は、正当に審査しているだけで農水省から指示を受けるいわれはないなどと主張し、3月30日に係争委に審査を申し出ていた。