赤嶺昇県議会議長と記者のやりとりは次の通り。
―今回の議長選は野党・中立会派に推される形で異例だった。
「玉城デニー知事の県政に対しては与党で変わらない。一方で地方議会は二元代表制だ。与党が多いからといって、常に安定多数で議案が通ることは県民の立場から見ると正常ではない。前県議会は与党多数で良い面もあれば、弊害もあった。県執行部は多数なので各会派代表にだけ説明し、県議会の前日に説明すれば全ての議案が通っていた。議会の権能としていかがなものか」
「与党ではあるが、なれ合いはしたくない。与党は『知事を支える』とよく言われるが、私は決して自分の口から知事を支えるという言葉を使っていない。今一番支えるのは県民と国民で、そのスタンスは変わっていない」
―辺野古新基地建設問題で議長として沖縄で示される民意をどう扱うか。
「県民投票はじめ県民の民意が明確に示されているのは明らかだ。議会の総意として日本政府に伝える責任はある。九州や全国議長会にも伝える。全国の議長会との連携も図り、県民の民意を国民に伝えていくことは大切だ」
―辺野古のサンゴ移植問題を巡る訴訟費用が含まれた予算案が直近の与野党対立議案になる可能性がある。会派おきなわの対応は。
「おきなわは辺野古反対の立場なので、予算をすぐ反対に回るかと言うと、そうはならないと思う」
「辺野古は反対だが、県ワシントン事務所については費用対効果を考えないといけない。ワシントン駐在所長が英語が堪能ではないとか、いわゆるシンクタンクを政府と同じ所を使っているなど事務所の必要性を精査しないといけない。辺野古反対ならば何でも金を使っていいかと言うと違う。そこは大きな判断になる」
―現在の「オール沖縄」をどうみているか。
「(2013年に)建白書に結集した状況、あれこそがオール沖縄だ。今はオール沖縄ではないと思う。これだけ県議会も拮抗(きっこう)している。オール沖縄はあの当時の建白書から出た言葉と私は認識している。大型選挙は勝っているが、他方で市長選などではそうでもない。唯一つなぎ目になっているのは辺野古だ。だからそこ以外は、寄り合いなので共産も他の政党も必ずしも一緒ではない」
―玉城知事と距離があると言われている。
「私は玉城知事の衆院選で事務総長を何度か務めた。沖縄市区で落選した玉城満前県議は玉城知事の選対本部長を2回務めた。(おきなわの)平良昭一県議も玉城知事の秘書をした。おきなわが玉城知事と一番近いとの自負がある」
「私たちは知事にはっきり物を言う。それは仲間と思っているからだ。率直に物を言うことが今のオール沖縄では残念ながら排除される。県民を差しおいて全て知事を支えるという言葉には違和感がある」
―野党からすると、自分たちの投票で選出した議長だ。議案採決の可否同数時の議長採決で野党が有利になる行動への期待もある。
「(自民から)票をもらったり『可否同数の時は頼む』とお願いされたりしたこともない。今後言ってくるかもしれないが、私の判断と責任になるのではないか」