沖縄防衛局は名護市辺野古の新基地建設の設計を変更する際、地盤が軟弱であることを示す一部のデータを切り捨てている。一部を除外した条件で専門家の技術検討会に諮り、県に設計変更の承認を申請した。
データ除外を明らかにした専門家チーム「沖縄辺野古調査団」は「都合の悪い事実を隠蔽(いんぺい)している」と批判。これらのデータを反映させると護岸崩壊の恐れがあると指摘している。軟弱地盤が最も深い約90メートルに達する地点「B27」では受注業者が地盤の強さを調べていたが、政府は「業者が自主的に実施した簡易な調査だ」として不採用にした。
調査結果は、防衛局が地盤を改良する予定の70メートルより深い地盤も軟弱であることを示していた。政府は試験結果の存在が報道されるまで実測データはないと説明してきた。
政府はB27について実測値を採用せず、別の3地点の測定結果から地質を推定した。そのうちの一つ「B58」はB27から約750メートル離れている。
さらにB58地点の地盤についてもデータ棄却が明らかになった。沖縄辺野古調査団によると、B58の地盤を調べた試験結果14個のうち、地盤が弱いことを示す12個のデータが棄却された。受注業者が作った元の資料には載っているが、防衛局が技術検討会に提示した資料では消されていたデータもあった。防衛局は他の試験結果と比べ「著しく過小なため」などと棄却理由を説明した。