ハンセン病、家族にも差別 原告・金城さん「裁判通し再認識」 名護・愛楽園で毎月第4土曜日にトーク企画


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ハンセン病回復者の家族の状況を語る金城正樹さん(右)=6月27日、名護市済井出の沖縄愛楽園交流会館

 【名護】ハンセン病に関する諸問題を伝える沖縄愛楽園交流会館(名護市済井出)はハンセン病回復者の家族について考えようと、ドキュメンタリー上映とトーク企画を毎月第4土曜日に開いている。6月27日の回では、ドキュメンタリー作品の上映と、ハンセン病家族訴訟原告で出廷して証言した金城正樹さん(48)のトークがあった。トーク企画は7月25日と8月22日午後2時にも別のゲストを招き開かれる予定。

 金城さんは母親がハンセン病回復者。子どものころ母親が愛楽園に入っていたが、当時それで被害を受けたという認識はなかったという。家族訴訟も最初は「患者でもないのに(謝罪や賠償を国に求めるのは)きりがない」と思っていたという。それでも裁判を通して、身内にハンセン病患者がいることで結婚や就職・融資などが破談になった例を知った。裁判を通してハンセン病が周囲の人間関係にも影響していたことを再認識し、自身にも少なからず影響があったことを振り返った。

 質疑応答では、昨今の新型コロナウイルス感染者差別との共通点について質問が出た。金城さんは「感染への恐怖心に基づく差別であることは(ハンセン病を巡る差別と)同じだと感じた」と指摘した。その上で「ハンセン病は『感染力が弱いから患者を差別するのは間違い』というが『感染力が強い病気であれば患者を差別してよい』ということは成り立たない。(差別の原因を)理屈で言い訳をすることに、(差別する人の)後ろめたさがある」と訴えた。

 ドキュメンタリー上映などは8月23日まで同館で開催する「儀間比呂志 絵本『ツルとタケシ』原画展」の関連企画。同館は入館無料。午前10時~午後5時。月曜・祝日が休館。問い合わせは(電話)0980(52)8453。