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スポーツ応援も画面越しで コロナ禍、沖縄高校総体で広がったオンライン配信

県高校総体で優勝を決めて喜ぶ男子バスケットボール豊見城の選手ら。入場制限が行われたため、いつもは満員の応援席もがらがらだ=7月24日、沖縄市体育館

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて生活スタイルが変わり、さまざまな場面で「オンライン」が注目されている。全国高校総体(インターハイ)が中止になるなど晴れ舞台が失われる中、高校スポーツ界でもオンラインの活用が広がっている。

 沖縄では今夏、県高校総体の各競技でオンライン配信が行われた。感染防止の観点から入場や観戦が制限され、目の前で応援できない家族や関係者が、いつもと違う夏の熱戦を画面越しに見守った。

県外からもリアルタイムで熱視線

 県総体で屋外競技は3年生1人につき保護者2人までの入場が許可された。


総体サッカーで開設された特設サイト

 サッカーは、アマチュアサッカーのウェブメディアを運営する株式会社「グリーンカード」(福岡市)が特設サイトを開設。男女1回戦から決勝まで全試合、YouTubeでライブ配信した。

 きっかけは、同社が携わる九州地域のU-16リーグに沖縄から4校が参加しており、同社が配信を提案したこと。既に佐賀県と徳島県の総体で配信していた手法を生かし、本番まで約2週間という短い期間だったが、沖縄県高体連専門部や県サッカー協会と連携して準備を整えた。試合に出る選手だけでなく「全員が動画に登場するように」との思いから、抽選会時に指導者のLINEグループをつくり、各校のチーム紹介や監督と主将のコメントを集約、サイトに随時アップした。

 大会当日は各会場に撮影スタッフ3~4人を派遣し、費用は同社がスポンサーを募ったり動画にコマーシャル枠を設けたりするなどして捻出した。試合後にはダイジェストや勝利チームインタビューもアップする充実ぶり。序盤戦から注目度は高く、グリーンカードによると7月10~27日で計32万4292アクセスを記録した。


生配信された動画にはリアルタイムで声援が寄せられた(画像は一部加工しています)

 オンラインの活用は、感染防止の観点だけでなく思わぬ波及効果も。全国大会の中止でプロや大学のスカウト陣へのアピールの場が失われたが、オンラインなら地方の隠れた逸材に光が当たるチャンスになる。沖縄県サッカー協会2種(高校)の前委員長でもある西原高校の玉城真哉監督によると「普段はなかなか目に留まらないような県外の大学関係者から、『あの高校のあのFWはいい選手だね』といった連絡が来ているという話も聞く」という。玉城監督は「今回の取り組みはいろんな意味でのスタートになるだろう」と語る。


屋内競技は各メディアが名乗り

 「3密」回避のため、無観客というより厳しい条件になった屋内競技は、各メディアがオンライン配信に乗り出した。琉球放送(RBC)が13競技を配信、沖縄テレビ(OTV)がバスケットボール男女決勝とバレーボールの男女準決勝以降、OCN(沖縄ケーブルネットワーク)がハンドボールの男女準決勝と決勝をネットで中継した。


なぎなた会場での撮影の様子。左のカメラがRBC配信用、右のタブレットでは父母会の撮影で生配信した=7月25日、知念高校

 最も多い13競技を配信したRBCはライブ配信(生中継)ではなく、録画した映像を後日配信するスタイルをとった。撮影はマニュアルを基に各競技の高体連専門部が協力。カメラなど機材は専門部で用意し、役員や教諭、生徒らが撮影を担った。現場の負担を配慮してカメラは固定撮影、データを受け取った後にRBCがフォーマットの変換や映像のチェックをしてサイトに上げた。

 知念高校では2日間に渡ってなぎなた競技が開催された。なぎなたは競技団体の規模が小さく人員が足りず、さらに役員には医療関係者で運営に携われない人もいたため、大学生のOGが連盟スタッフとして撮影に協力。また、RBCの配信が決まる前からYouTubeを使った生配信を計画していたため、RBCの撮影とは別に知念高校保護者会が生配信の「助っ人」に加わった。高体連専門部の瀬長睦子委員長は「会場に足を運べないおじいちゃんやおばあちゃん、県外のOGもネットで観戦できてよかったと反響があった」と振り返る。

裾野広がりに課題も

 今回の総体でオンライン配信に関わった人たちは一様に「本当は目の前で観戦できるのが一番いい」と声をそろえた。その上で、遠方からも観戦できる、高齢者など体調に不安がある人も会場にいる気分で応援できる、映像として記録に残せる-といったオンラインならではの利点もあり、裾野の広がりに期待が寄せられた。

 アマチュアスポーツでオンライン配信が浸透するためには、環境整備や現場の負担が壁になる。今回の総体の場合、サッカー中継では競技場によって通信環境に差があり、動画の動きが鈍くなったり止まったりする場面もあった。暑さの中で撮影を連続すると機器に影響を与えることもある。さらに、今回と同等の質でサイトを展開しようと思うと、グリーンカードのようにノウハウを持った企業が協力しなければ技術やコスト面で難しい。


サッカー会場で生配信の動画を撮影するスタッフ=7月25日、金武フットボールセンター

 屋内競技の配信では、新体操で使用する楽曲が著作権の問題で配信できなかったり、複数のコートで同時に試合が行われるバドミントンなどは全試合配信するのが難しかったりという課題があった。RBCの担当者は「よりよい内容にするためにブラッシュアップが必要」と話す。

 コロナ禍で日々の営みが大きく変化している。この経験をコロナ禍の先へどうつなぐか、スポーツの現場でも模索が続く。

(デジタル編集担当・大城周子)



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